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サッカー日本代表の2025年はどうなる? 予選首位突破でも見えない本大会までの強化の道すじ

  • text by Sportiva

日本代表ゆく年くる年~杉山茂樹×浅田真樹(後編)

 W杯予選で首位を独走する一方、メンバーの固定化をはじめ将来への不安もぬぐいきれない日本代表。予選突破を確実にした2025年はどんな年になるのか。サッカージャーナリストの杉山茂樹氏と浅田真樹氏が語り合った。

浅田 来年の話をすると、間違いなく3月の予選で本大会出場が決まります。6月の予選2試合は消化試合になり、秋にアメリカに遠征するという話もありますが、どんな試合が組めるのかわからない。ヨーロッパで親善試合をやることになるのか。実は6月に行なわれるゴールドカップに出るのではないかという噂はあって、CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)のプレスリリースを見ると、招待チームを入れるということはアナウンスされているので、可能性はなくはないのかもしれない。そういうことをやっていかないと、もう真剣勝負に近い形の試合はできないのかもしれません。

W杯3次予選でここまで5勝1分けとグループCで首位を独走中の日本代表 photo by Sano MikiW杯3次予選でここまで5勝1分けとグループCで首位を独走中の日本代表 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る杉山 ヨーロッパで試合をするといっても、ヨーロッパの国は予選の真っ最中で、ベストメンバーが揃うアフリカのチームとできるかどうか。できても年内にせいぜい1回じゃないですか。

浅田 ちなみに6月の予選2試合はホームでしょう。ますます新しい選手を呼べなくなって、ベストメンバーのお披露目の場になっちゃったりして。

杉山 予選は楽勝。いい選手が次々と出てはヨーロッパへ行っちゃう。そのヨーロッパからはひどく離れている......日本は世界であまり例のない国になったんですね。要するに日本はもう、手元に代表選手を集めて強化するという時代ではないということ。そうなると、代表監督の役割はセレクターになる。今や日本の代表監督は、戦術がどうのこうのというより、交通整理がうまくできる人でないといけない。戦術は基本、選手たちがヨーロッパでやっているのと同じことをやっていれば、そんなに問題ない。森保監督は自分の色を出すことなど考えず、ずっとヨーロッパに行ってるぐらいのほうがいいと思います。

 現在のベストメンバーのうち、1年半後の本大会では何人かはケガをしているし、何人かはクラブでポジションを失って調子を落としている。いまベストを決めること自体が怖いことなんです。どうすればいいかと言えば、ベストメンバーが30人ぐらいいて、誰が出ても大丈夫な状態にすること。勝手にベストな11人を決めて間口を狭くするのは非常に危険なこと。たぶん選手のレベル的には紙一重。だから監督は「今回はこうします」「この人は選びません」と素直に言えばいい。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

  • 浅田真樹

    浅田真樹 (あさだ・まさき)

    フリーライター。1967年生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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