後輩の堂安律も驚いた。田中駿汰が「遠回りして」五輪代表で花開く
2019年10月のブラジル遠征では、そこまでの存在感を示せたわけではなかった。
6月のトゥーロン国際大会で初めてU−22日本代表(東京五輪代表)に選ばれ、この時が2度目の招集。「代表に入ってもやれると感じているので、自分の持ち味をしっかり出して生き残っていきたいと思います」と、言葉にも初々しさが感じられた。
サウジアラビア戦できらりと光るプレーを見せた田中駿汰 それから約3カ月----。U−23アジア選手権の初戦、サウジアラビア戦に先発した田中駿汰(大阪体育大→北海道コンサドーレ札幌)のプレーは、自信に満ちていた。
ディフェンスラインからボールをスムーズに受け取ると、さっと前を向いて間髪入れずにボールを散らす。ボランチでコンビを組んだ田中碧(川崎フロンターレ)と程よい距離を保ちながらボールを動かし、「ここしかない」というタイミングで縦パスをスパンと入れる。
橋岡大樹(浦和レッズ)からの横パスをダイレクトで旗手怜央(順天堂大→川崎フロンターレ)、小川航基(ジュビロ磐田)に通した26分、37分のシーンは、その真骨頂だ。
183cmの長身もあいまって、プレースタイルは「エレガント」という言葉がしっくり来る。
もっとも、目立ったのはプレーだけではない。ミックスゾーンでの言葉もきらりと光った。
「自分のプレーは出せたほうだと思いますけど、もっと中心になってやっていかないといけない、っていう自覚があります」
このチームに招集されたのは、前述したトゥーロン国際とブラジル遠征、そして11月のコロンビア戦に続き、まだ4回目。ブラジル遠征の際には「(代表に)慣れてきましたね」と語っていたところだったのに、この変わりようは、どうしたことか----。
「一番は(12月の)E−1選手権でA代表に入ったことですね。A代表の選手たちとやって、できる自信を掴んだ。(出場した)香港戦でもそうですけど、練習のポゼッションのところで自分の技術が通用したし、守備の部分でも負けていなかった。
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