2019.12.16

なでしこのニューフェイスは非エリート。
22歳の異色のゴールゲッター

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「今のなでしことは違う色を入れたい。もう一点が欲しいとか、変化が欲しいといったときの選手。その辺(選手層)の厚みというのは欲しい」(高倉監督)と、初招集やこれまで呼んだ中で今もなお気になっている選手が集められた。そこに池尻の名前もあった。今シーズンは韓国のWKリーグの水原WFCに所属し、フィジカルサッカーの中で徹底的に自らを鍛え上げた。

 もともと強い当たりにも対応できるタイプではあったが、韓国で1年間揉まれた成果は合宿2日目に行なわれた興国高校男子サッカー部との合同練習でも存分に発揮された。これが高倉監督に今大会への招集を決めさせた。

 ちなみにこの11月のなでしこチャレンジからは、池尻のほかに上野真実(愛媛FCレディース)、林穂乃香(セレッソ大阪レディース)も今大会で”昇格”している。

 池尻の強気なプレーは、初戦途中交代のファーストプレーでも見て取れた。「決めていた」という言どおりDFに真っ向勝負を挑む。右サイドはぶっつけ本番だったが、それでも虎視眈々とゴールを狙い続けた。積極的な攻撃の姿勢を貫き、代表初ゴールはPK。その後アディショナルタイムにも自らゴールを決め、2得点をマークした。

 しかし、最も池尻らしさが表われていたプレーは78分、途中交代の上野真実(愛媛FCレディース)からのスルーパスを受けた直後、左に切り返し、たった一歩で相手DFを振り切ったところだ。ゴールに至らなかったがこれは絶品のプレーだった。

「まったく満足していません。評価できるのは2ゴールという結果だけ」と初ゴールにも厳しい自己評価だった池尻も、この切り返しを振り返ると「あれはよかった」と表情を綻ばせ、「でもあれだけ。決められなかったですし」と気持ちを引き締めていた。