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森保Jに欠かせぬ32歳。
気負わない青山敏弘の「ベテラン力」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 先の見えない暗闇の中でもがき続け、ひと筋の光が差し込んだかに思えたが、ふたたび引き戻されてしまう。青山敏弘にとっての2018年は、そんな1年ではなかったか。

 2017年、サンフレッチェ広島は優勝候補の一角に挙げられながら、まさかの低迷を強いられた。三度のリーグ優勝に導いた森保一監督を解任する大ナタを振るい、なんとかJ1残留を成し遂げたものの、黄金期の終焉を予感させるシーズンとなった。

日本代表合宿で黙々とメニューをこなす青山敏弘日本代表合宿で黙々とメニューをこなす青山敏弘 迎えた2018年、開幕戦で見られたそのパフォーマンスに、かつての広島の姿はなかった。

 城福浩監督を迎えた今シーズン、パス回しに定評のあった広島のサッカーは、守備を重視し、シンプルに縦を狙うリアリズムに満ちたサッカーに変貌。少ないチャンスをモノにし、北海道コンサドーレ札幌に勝利したものの、長く広島のサッカーを見てきた者としては、寂寥感を覚えずにはいられなかった。

 もっとも、城福監督が求めた新たなサッカーは、開幕から9戦負けなしと結果を出し続け、首位を独走。ワールドカップ中断明け後も状態は下降せず、一気に優勝街道を突き進むかと思われた。

 しかし9月に入り、突如失速。シーズン終盤の9試合でひとつも勝利を挙げることができず、一時は勝ち点13差をつけていた川崎フロンターレにかわされて、2位でシーズンを終えている。

 青山は急降下の原因を、次のように説明する。

「シーズンの最初のころはよすぎたというか、やるべきことをやったことで、結果を出せていたと思う。ただ、それを続けられなかったことを後悔しているし、悔しさはある」

 180度変わったスタイルに、選手たちは必死にアジャストしようと試みた。しかし、長丁場のシーズンで次第にほころびが生じ、最後まで保たなかったのだ。

「チームが変わってしまったなかで、それなりのサッカーしかできなかった。もちろん、目指すべきところは間違ってはいないけど、それができるメンバーではなかったかなと」

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