秋山幸二と佐々木誠の大型トレード。その裏にあった松永浩美のFA秘話 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Kyodo News

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<その頃は、ほかの連中が権利を使うと思っていた。でも間近に迫った今、オレなりの感じでは、誰も宣言しそうにない。それじゃあ、今までオレたちは何のために動いてきたんだ、という思いはある。

 手を挙げても声がまったくかからないかもしれない。それぐらいのリスクは当然だし、自分の商品価値を問うのもプロなら恥ずかしいことではない。自信があるなら堂々と手を挙げるべき。オレはプロだ。一度、出ているんだ>

<出ているんだ>とは、移籍で古巣を出ているという意味。FA元年ならではの言葉とも言えるが、記事中には<阪神にとってはまさに衝撃的な発言だ>との一文もある。実際のところはどうだったのか──。松永に聞く。

「いざ権利を取得して、すごく迷ったんですよ。その年は故障もあったし、『このまま阪神を出るのもなあ』っていう気持ちもあって......。だから、宣言したうえで阪神に残留することも考えていた。マスコミには『ダイエー』と書かれていたけど、自分としてはフラットな状態。どちらかといえば、その時点ではまだ断る気のほうが強かったですね、根本さんが交渉に来られるとしても」

 同年にダイエー(現・ソフトバンク)監督に就任した根本陸夫は、9月から球団の代表取締役専務、球団本部長を兼務。オーナーから全権を与えられたチーム編成のトップ、実質的にGMになっていた。FAを宣言する選手がいれば、根本自身が獲得に動くことは報じられていた。

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