顔が怖い23歳がバレンズエラ級の快投。ア・リーグに驚異の新人現る

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

個人タイトルを争う注目ピッチャー@ア・リーグ編

 今年のレギュラーシーズンも残り40試合を切り、両リーグとも地区優勝争いが過熱してきました。また、それと同時に注目されているのが、個人タイトルをかけた争いです。個人成績を見てみると、両リーグとも投手部門において、日本ではあまり馴染みのない選手が上位に食い込んでいます。

23歳の新人には見えない迫力ある風貌のマイケル・フルマー23歳の新人には見えない迫力ある風貌のマイケル・フルマー まず、ア・リーグの最多勝レースで気になるピッチャーは、現在17勝3敗・防御率3.05で勝ち星トップタイにいるトロント・ブルージェイズのJ.A.ハップでしょう。彼は2004年のドラフト3巡目・全体92位でフィラデルフィア・フィリーズから指名されてプロ入りした33歳のベテラン左腕です。2007年にメジャーデビューを飾ったハップは、2009年に23試合の先発で12勝4敗・防御率2.93という好成績を残し、ナ・リーグ新人王投票で2位にランクインしたこともありました。

 ところが2010年、ヒューストン・アストロズにトレードされてから、ハップは調子を落としてしまいます。年間6~7勝しか挙げられないシーズンが続き、2012年にはブルージェイズへの移籍直後に足を骨折したり、2013年には頭部に打球が直撃するなど、不運が重なりました。

 昨シーズンはシアトル・マリナーズに先発4~5番手として加入して心機一転を図るも、前半戦は4勝6敗・防御率4.64と期待はずれ。7月にはピッツバーグ・パイレーツにトレードで放出されることになり、まさにチームを転々とする選手生活を送っていたのです。

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著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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