競泳界に現れた新星・16歳の成田実生。ジュニアで結果を残し、今年はシニアの舞台で羽ばたく

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORT

Sportiva注目若手アスリート「2023年の顔」
第17回:成田実生(競泳)

 2023年にさらなる活躍が期待される若手アスリートたち。どんなプレーで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。

パリ五輪に向けて、まずは今年の世界選手権での活躍が楽しみな成田実生パリ五輪に向けて、まずは今年の世界選手権での活躍が楽しみな成田実生 世界水泳福岡大会(2022年5月から2023年7月に延期)の代表選考として、2022年3月に行なわれた、競泳の国際大会日本代表選手選考会。そこで驚く結果を出して注目されたのが、当時まだ中学3年生の成田実生(金町SC)だった。

 前年の東京五輪個人メドレー2冠の大橋悠依(イトマン東進)や、400m個人メドレー出場の谷川亜華葉(イトマン/四條畷学園高)も出場していた、大会2日目の女子400m個人メドレー。谷川が最初から飛ばす展開のなか、2泳目の背泳ぎで大橋を交わすと、次の平泳ぎでさらに差を広げ、前にいた谷川を追い込むと、最後の自由形で0秒26差まで迫り、大橋を抑えて2位でゴール。世界ジュニア新記録(4分36秒71)で、世界選手権参加標準記録Ⅱを突破する好タイムだった。

ただ、大橋が2021年東京五輪の金メダルで世界選手権代表を内定させていたため、初の世界選手権代表はならなかったが、堂々たる泳ぎを見せて9月のアジア大会(のちに延期)の代表は手にした。

「最後は競っていたので悔しい気持ちはあります。大会前から緊張していたけど(この大会を)前から目標にしていたので強い気持ちで泳げました。予選では、東京五輪を『すごいな』と思って見ていた大橋さんの隣のレーンで泳げたのがすごくうれしかったです。弱気にならず自分の泳ぎをできました。タイムはあまり考えずに泳いでいましたが、自己ベストが4秒くらい縮まったのですごくうれしい」

 こう言って喜んでいた成田は、翌日の200m個人メドレーでも予選を2位通過すると、決勝では東京五輪400mリレー出場の大本里佳(ANAイトマン)と大橋には敗れたものの、2分12秒13で3位に。日本のトップ選手と戦えたことは成田にとって自信になった。

「目標にしていた中学記録と派遣標準突破はできなかったですが、自己ベストは出たのでこれからは上位選手に追いつけるように頑張りたい」

 そしてこれからの目標については、400mで谷川が出した高校記録にもう少しと迫っているのもかかわらず、「来月から高校生になるので、インターハイに出場出来たらメダルを獲れるように頑張りたい」と控えめな発言で周囲を微笑ませた。

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