女子マラソン、日本は入賞ゼロの屈辱。「遅くても強い」米国との違い (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • ptoto by PHOTO KISHIMOTO

 その清田は中盤までは集団の前方に位置取りして、時には先頭に立って集団を引っ張るシーンもあった。25kmを過ぎると集団から一旦遅れたものの、そこからまた追いつく動きを何回か繰り返し、粘りを見せる。しかし、35kmからの急激なペースアップには対応できず、取り残されてしまった。そこから40kmまでのラップタイムも、18分23秒に落ち、最後の2.195kmも8分25秒と粘りきれず、2時間30分36秒の16位にとどまった。

「粘ったとは言っても、前半からゆとりを持っての走りではなく、いっぱいいっぱいだったので、それが後半に響いて35kmからのペースアップには反応すらできなかった。途中で遅れた時は『多少ペースが上がったとしても、市街地の中では落ちてくる』という想定だったので、焦らずに落ち着いていけていました。でも集団のペースが遅いので、自分がある程度のペースを作りたいと思って前に出た時も引っ張りきれない部分もあった。自分のリズムに乗せることができなかったのが、後半にバテた原因のひとつでもあるので、もっと思い切って、自分で押していく走りができなかったことをすごく後悔しています」

 粘るところは粘ったが、結局は清田も主導権を握る場面は一度もないまま、終盤の強烈なペース変化に屈した。

 そんな日本勢とは違い、アメリカ勢は着実にメダルを獲得した。クラッグは持ちタイムこそ2時間27分03秒と遅いながらも、35kmまでのスローペースにしっかり対応し、そこから自分でレースを動かす強さを見せた。最後は粘り切るだけではなく、ラストの2.195kmは勝負のスパートをかけ、キプラガトを追い込んで銅メダルを獲得した。

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