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坂本花織「ぶっ飛ばしていこう」 攻めの気持ちでNHK杯を優勝してさらに進化 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【些細なコンディションを敏感に感じ取る】

 わずかにミスがありながらも、フリーは今季世界最高の152.95点。坂本は納得しながらも「まだまだ」という意識を持つ。

「フリップの回転不足があったし、ステップシークエンスもこれまでの4試合すべてでレベル3のまま。次の試合までにしっかり改善して、オールレベル4を取り、すべての要素を高いクオリティにしたいと思っています」

 攻めの姿勢を持って挑めた背景を坂本はこう語る。

「朝の公式練習で3回転+3回転は転倒してしまったんですが、ちょっとスピードを落として守りに入ったための失敗でした。『今日は守りには入らないほうがいいな』というのを練習で感じて、本番は思いきって。後半どうなろうと、とにかく3回転+3回転は決めようという気持ちで挑み、自分のなかではベストな3回転+3回転が跳べたかなって思ったので、そこからは曲と同様に乗っていくことができました」

 些細なことでも細心の注意を払って反応し、その要因や解決法を考えていく。そんな姿勢も彼女の進化の一つなのだろう。

 毎回のように「手足の震えが止まらないほど緊張する」と言いながらも、大舞台では勝負強さを見せ続けてきた坂本。今回のフリーの攻めの滑りは、彼女のさらなる進化を確信させた。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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