ハプニングにも動じず堂々の演技。今季は宇野昌磨から目が離せない (4ページ目)

  • 辛 仁夏●文 text by Synn Yinha  能登 直●撮影 photo by Noto Sunao


 リハーサル後の記者会見で、このハプニングについて宇野は報道陣をこう笑わせた。

「そんなたいしたことではないんですけど、(リハーサルの)今日はエキシビションをお願いしていたつもりで、曲名を言っていなかったので、そこで行き違いがあって。自分はエキシビションのつもりで氷に立ったんですが、ショートの曲が流れてしまい......。何とか切り抜けられたかと思うので、よかったです。"新入り"にはこういうドッキリがあるのかなと思いました(笑)。こういうことがよくあるので、だいぶ慣れてきました」

 飄々(ひょうひょう)としながらも、ユーモアたっぷりにハプニングを語る宇野に誰もが共感した。

 そんなハプニングを物ともせず、宇野は演技で魅せた。最初のジャンプは本来であれば4回転フリップだが、この日は単発の4回転トーループを跳んでオーバーターンだったが、2本目の4回転トーループは回転の速さと回転軸の細さが見事で、キレのある素晴らしいジャンプだった。そして、3本目のトリプルアクセルも惚れ惚れするような完璧なジャンプを見せてくれた。アイスショーの、それもリハーサルで、このジャンプ3本を見せてくれる宇野に脱帽するとともに、心をぐっとつかまれた。

 終盤に向けて盛り上がる曲調に乗って、演技が勢いづいてくる様子も感じることができ、音楽にぴったりと合った高速スピンのデキが良かった。宇野を小さい頃から指導する樋口美穂子コーチが振り付けたSPは、これから滑り込むほどに味が出てくるはずだ。

 今年のフレンズオンアイスに初出演となった宇野は、今季の目標と抱負をこう話した。

「今季のショート、フリーともにアイスショーで何度もやらせてもらって、だいぶ馴染んできましたし、昨シーズンとは違った自分を今シーズン、見せられればいいと思います。得点や順位という目標はないんですが、昨シーズン悔しい思いで終わった試合がたくさんあったので、全部とはいいませんが、少しでも数多く笑って試合が終われるようなシーズンにしたいなと思います。

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