根岸Sは有力3頭に、新鋭・荻野極のアキトクレッセントが割って入る

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 2018年の競馬も、早くもひと開催終了して、およそ2カ月ぶりに東京開催を迎えます。

 ご存知のとおり、日本を代表する"大箱コース"の東京競馬場は、1周2000mを超える芝コースがあり、その内側を回るダートコースも1周約1900mもあります。そのうえ、コーナーが緩やかで馬場の幅員も広く、小回りでぐるぐる回っているように感じる中山コースと比較して、乗っていても、とてもゆったりしていて乗りやすいコースです。

 その東京開催の開幕週に行なわれる重賞は、GIフェブラリーS(2月18日/東京・ダート1600m)の前哨戦となる根岸S(1月28日/東京・ダート1400m)です。

 本番となるフェブラリーSはマイル戦となりますが、このレースは1ハロン短い1400m戦。以前にも触れたことがありますが、たった200mの違いですが、コースの性格はかなり異なります。

 まずマイル戦は、2コーナーを回ったポケット付近からスタート。発走直後は芝の上を走るため、芝適性の差がポジション取りにやや影響するところがありますが、最初のコーナーとなる第3コーナーまで、向正面をいっぱいに使った直線が続きます。そのため、ジョッキーの心理的に焦ることは少なく、ポジション争いは熾烈にならず、比較的ペースは落ちつくことが多いですね。

 一方、1400m戦では、出足から引っ張る馬がいると、最初のコーナーがあっという間に迫ってきます。行く馬がどの枠に入るかにもよりますが、マイル戦よりポジション取りはシビアになり、テンから速くなることが多々あります。第3コーナーまでの入り方で、展開が大きく変わるコースです。

 今年の出走メンバーを見渡してみると、先手を主張しそうな馬はノボバカラ(牡6歳)とサイタスリーレッド(牡5歳)くらいでしょうか。

 昨年の覇者カフジテイク(牡6歳)をはじめ、昨年4着のキングズガード(牡7歳)、明け4歳のサンライズノヴァ(牡4歳)など有力どころは、どちらかと言えば差し・追い込み系が多いようなので、それほどテンから速くなることはなさそうですね。

 速くならないのであれば、前が有利とも受け取れますが、速い上がりを使える馬は馬群が詰まったほうが決め手を生かせる場合もあります。前述の差し馬3頭にしても、そういうタイプ。三者三様ではあるものの、速い流れでも、馬群が詰まっても差してこられる面々なので、やはり有力視すべき存在だと言えます。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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