天国のオーナーと母がひと押し!
ゴールドアクターが有馬記念連覇へ (2ページ目)
彼が引き継いだ北勝ファームは、スタッフふたりに繁殖牝馬が10頭ほどの小さな牧場だ。生まれた仔馬を売り出すことはほとんどなく、おおよそ自らの所有馬として走らせてきた。また、繁殖牝馬を盛んに購入することもない。父・要氏は生前、馬事業や牧場経営については常に「拡大しようと考えず、あくまで自分の身の丈でやれ」と、寿与氏に話していたという。
この経営方針でなければ、ゴールドアクターは誕生しなかったかもしれない。それを物語るのが、母方に流れるキョウワアリシバの血だ。
キョウワアリシバは、現役時代に目立った成績を残せず(19戦5勝)、種牡馬としても活躍馬を出せなかった。そのため、同馬の血は広がることもなく、ほとんど残っていない。ゴールドアクターの母ヘイロンシンは、そのキョウワアリシバを父に持つ数少ない繁殖牝馬だが、同馬を所有し続けたのも「親父がそういう経営方針だったから」と寿与氏は語る。
「販売目的の牧場経営だったら、ヘイロンシンは牧場に残らなかったかもしれません。キョウワアリシバの血統は実績が少なく、どうしても子どもは低い売り値になったでしょうから」
だが一方で、寿与氏は、ゴールドアクターの活躍の裏に「キョウワアリシバの力がある」と信じている。
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