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三笘薫の「縦抜け」が激減しているのはなぜか プレミアリーグ日本人対決は鎌田大地に軍配

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

プレミアリーグで初対戦となった三笘薫と鎌田大地photo by Sebastian Frej/MB Media/Getty Images プレミアリーグで初対戦となった三笘薫と鎌田大地photo by Sebastian Frej/MB Media/Getty Images この記事に関連する写真を見る 三笘薫対鎌田大地。プレミアリーグ第16節は後半15分から日本人対決が実現した。ブライトン対クリスタル・パレスの一戦である。

 ここ最近、ファビアン・ハーツラー監督の采配が冴えず、格下相手に勝ち点を思うように積み重ねることができずにいるブライトン。最高位4位から順位を3つ下げ、7位でこの試合を迎えることになった。対するクリスタル・パレスは開幕から8戦勝ちなしと、スタートダッシュに失敗したが、ここ数試合で持ち直し、17位まで順位を回復していた。

 前節、ブライトンのハーツラー監督は、最下位のレスター相手に2-1とリードして最終盤を迎えると、三笘を下げ、ブラジル人CBイゴール・ジュリオを投入。純然たる5バックスタイルで逃げ切りを図ろうとしたものの、後半のアディショナルタイムに同点弾を浴び、白星を逃すという失態を演じていた。その前のフラム戦では左右非対称な3-4-2-1を採用。森保ジャパンよりは5バックになりにくい3バックだったが、4-2-3-1が大半を占めた従来と、方向性は変わりつつあった。

 クリスタル・パレス戦。注目された布陣は4-2-3-1だった。一方、オリバー・グラスナー監督率いるクリスタル・パレスは3-4-2-1。5バックになりやすい守備的な3バックで受けて立った。

 試合は布陣の特性どおり、ブライトンが試合を押し気味に進める。

 開始3分にはジョアン・ペドロ(ブラジル代表)からのパスを受けた三笘が決定的なシュートを放っている。クリスタル・パレスのGKディーン・ヘンダーソン(イングランド代表)に好セーブを許したが、このシュートが決まっていれば結果は違っていたと思われる。

 ブライトンは27分、CKから先制点を許すと33分にもセットプレーの流れから追加点を許す。ここ数試合の悪い流れは続いていた。

 前半を終えて0-2。するとブライトンのハーツラー監督は、ここ最近の試合がそうであるように布陣をいじった。前々戦では5バックになりにくい3バック。前戦では5バック同然の3バック。このクリスタル・パレス戦はどうだったかといえば、採用したのは数ある3バックのなかでも超攻撃的といわれる中盤ダイヤモンド型の3-4-3だった。逆転を懸け、一発勝負に出た感じだった。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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