三笘薫、ドリブラーとしての「特殊能力」を発揮 チェルシーでもやっていけることを証明した
プレミアリーグ第6節。5位チェルシーが7位のブライトンをホームに迎えた一戦は、立ち上がりから華々しい撃ち合いの展開になった。
いつものように4-3-3の左ウイングで先発した三笘薫が、開始40秒、まず魅せた。CBルイス・ダンク(元イングランド代表)のフィードをハーフウェイライン上のタッチライン際で受けると、右足の細かなボール操作で対峙する相手右SBマロ・ギュスト(フランス代表)をきれいに抜き去り、ライン際を疾走。スタンフォードブリッジのバックスタンドを埋めたチェルシーファンの目の前で、ドリブル&フェイントを挨拶代わりと言わんばかりに、さっそく披露した。
チェルシー戦にフル出場、再三、好機を演出した三笘薫(ブライトン)photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 両チームの関係は"緊密"だ。この日、チェルシーのスタメンを飾った11人のうち、ブライトン経由の選手はGKロベルト・サンチェス、左SBマルク・ククレジャ(ともにスペイン代表)、CBリーヴァイ・コルウィル(イングランド代表)、MFモイセス・カイセド(エクアドル代表)の4人を数えた。コルウィルはレンタルだったが、ブライトンの選手にとってチェルシー行きは出世コースだ。目指すべきチームである。三笘も例外ではない。
見せ場はその3分後の前半4分にも訪れた。チェルシーの左ウイング、ジェイドン・サンチョ(イングランド代表)の放ったシュートが跳ね返り、そのルーズボールが三笘の前に転がってきた。自軍ハーフウェイライン手前だ。今度は真ん中のルートが空いたと見るや、三笘はトップスピードに乗りドリブルを開始。直線的に突き進んだ。ペナルティエリア手前で、ククレジャの好タックルに屈したが、目を見張るプレーを開始早々から連発。チェルシーで同じポジションを務めるサンチョを上回るのではないかと思わせた。チェルシーでも十分やっていけそうなプレーぶりだった。
ブライトンに先制点が生まれたのはその直後。発端は三笘のウイングプレーだった。その先を追い越すように走ったペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)は、三笘から縦パスを受けると最深部に侵入。ゴールライン際からのマイナスの折り返しを送った。そのこぼれ球をジョルジニオ・ルター(元U-21フランス代表)が頭で押し込んだのだった。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。