ヴェルディユース初の教え子の最終戦で、永井秀樹監督は何を語ったか

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

永井秀樹「ヴェルディ再建」への道(7)
~ユース指揮官としての1年(前編)

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 高円宮杯U-18サッカーリーグ・プリンスリーグ関東の最終節(2017年12月10日)、永井秀樹監督率いる東京ヴェルディユースは、ジェフユナイテッド市原・千葉U-18と対戦した。

「試合前のミーティングでは、『悔いを残さないためにも、1年間積み上げてきたものをすべて出し切ろう』とだけ伝えようと決めていた。最終戦だし、今さら何を話しても始まらない。でも、話しているうちに、初めて(指導を)任された選手、教え子たちと過ごした日々が浮かんできて、気づいたら30分以上も話していた(笑)」

 試合後、永井はそう振り返った。

「七転八起」「運動選手」と
ボードに綴った永井が伝えたこと

 トップと下部組織との違いはあるものの、ユースの選手もまた、永井と同じように、これまでのサッカー人生をヴェルディとともに歩んできた。しかし、3年生のうち、ひとりを除くすべてのメンバーにとって、慣れ親しんだ緑のユニフォームを着てサッカーができるのは、これが最後。指揮を執る永井の胸の内で、特別な感情が湧き上がっても不思議はなかった。

ヴェルディユースから「卒業」する3年生たちヴェルディユースから「卒業」する3年生たち その試合前のミーティング。永井は作戦ボードの裏側に『素晴らしきヴェルディユースのみんなへ』と書いた。そして、その下に『七転八起』と記すと、こう話し始めた。

「人生で大切なことは、何度転んでも、そのたびに立ち上がること。何度倒れようが、そのたびに歯を食いしばって立ち上がれ。栄光はその先にある。サッカーも、人生も、大切なことは一緒だ」

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