森保ジャパン、衝撃の現状。布陣の意図と運用方法が明確に共有できていない (3ページ目)
攻撃面で手詰まり状態
もちろん、W杯第2戦のコスタリカ戦を想定すると、今回のチュニジア戦と似たような試合展開が予想されるため、同じ過ちを繰り返さないことが勝つための絶対条件になるが、コスタリカ戦のために守備システムを修正するほどの問題は見当たらなかった。
問題は、堅守の相手に対してどのようにしてゴールを奪うのか、という攻撃面にある。
まず、この試合の前半で記録したシュートが1本もなかったこと。もちろん、35分に伊東純也のクロスを鎌田が空振りしてしまった決定機はあったが、それでも57.7%のボール支配率を誇りながら、シュート0本は問題だ。
この試合では、南野が左ウイングで先発したこともあり、左サイドで幅をとる役割を担ったのは左SBの伊藤だった。両チームが積極的に前からプレスを掛け合った立ち上がり15分のなかで、日本はこの立ち位置を利用して左サイドを攻略。南野が内側から斜めに走り、そこに伊藤がパスを供給して、南野が左ポケット(ペナルティーエリア内の左サイド)をとってクロスを供給するシーンが、6分、9分と2度続いた。
逆に右サイドは、いつものように伊東が幅をとり、右インサイドハーフの原口元気が内側のエリアを担当。10分には、伊東が外から斜めにパスを供給し、原口が右ポケットをとってクロスを供給している。
ポケットの攻略は、ゴールをこじ開けるための有効な手段だ。そういう意味で、立ち上がりの日本は、シュートには至らなかったが、攻撃の糸口らしきものを見出していたかに見えた。しかし、チュニジアが前からのプレスを止めて、4-5-1の陣形でブロックを形成するようになった15分以降、ポケット攻略は影を潜めた。
結局、前半はくさびの縦パスも2本しか記録できず、前半のラスト10分間でクロス5本を供給したのが精一杯。そのうち4本が右サイドの伊東によるものだったことを考えると、4-3-3に布陣変更して以降のアジア最終予選の戦いと同じような手詰まり状態に陥っていたと言わざるを得ない。
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