レジェンドOB岩瀬仁紀が2021年の中日を総括。「負けているのにベンチで笑顔が見られるなんて...」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

---- 今年のドラフト会議では、1位でブライト健太選手(上武大)、2位で鵜飼航丞選手(駒澤大)と長打力のある打者を多く指名しました。その意味では、選手の個性を生かしたい球団側の意図も見てとれます。

「そういう見方もできるでしょうが、偏ったドラフトになってしまったという見方もできます。右の強打者を多く獲れたのはよかったですが、外野手が3人ですからね」

---- 投手で唯一の指名は、3位の石森大誠(火の国サラマンダーズ)でした。

「映像で見ただけですが、すごくいいフォームをしていますね。コントロールには苦労しなさそうなフォームをしています。いくらボールが速くても、プロではカウントがつくれないと長持ちしません。リリーフとしていいと思います」

---- 話題をそのまま投手陣に戻します。岩瀬さんが期待を込めて「もっとやれるはず」と語っていた小笠原慎之介投手は先発ローテーションに定着し、7勝10敗、防御率3.80の成績を残しています。

「うーん......」

---- まだまだ、こんなものではないと?

「慎之介が普通の投手なら、十分合格点です。でも、慎之介はいずれエースになってほしい人材ですから。もっとダイナミックに投げていたのが、年々こぢんまりとしている感があります。このままでいいのか、分かれ道にいると思います。もっとやれると信じているからこそ、そのスケール感を大事にしてもらいたいですね」

---- リリーフ陣では又吉克樹投手が65登板で33ホールド、8セーブ。防御率1.30と見事に復活しました。

「ピッチングが大人になりました。今までは力勝負だったのが、丁寧に投げられるようになりました。僕がチームメイトだった頃は『いいボールを投げよう』と思いすぎて墓穴を掘っていたのが、丁寧に投げるように考え方を変えたのでしょうね。やっとピッチングをわかってきた感があります」

---- リリーフ陣は全体的に防御率がよく、好成績を収めていますね。

「後ろ(クローザー)でライデル・マルティネスがしっかりしているのが大きいですね。終盤に少し疲れは出ましたが、年間通して活躍できたのは、本人も自信になったはずです。あとは、今年も祖父江大輔が頑張ってくれました。おそらく年々、本人のなかできつさを覚えているはずですが、それでも安定して結果を残している。チームにとって貴重な存在です」

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