「東大だからプロ野球選手になれた」ヤクルト宮台康平が語る青春と今

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • photo by Sankei Visual

文武両道の裏側 第1回
東京ヤクルトスワローズ 宮台康平投手

 文武両道――。「文」=「勉学」と、「武」=「スポーツ」の両方に秀でたこと、あるいは人物を指す言葉だ。

 近年、こうした「文」と「武」を両立する「文武両道アスリート」が注目されるようになった一方、世の中ではまだまだ「二兎を追う者は一兎をも得ず」というイメージが根強い。なかには「文武両道=両方に秀でた天才だけが実践できる特異な例」と考える人も少なくないだろう。

 だからこそSportiva編集部は、「文武両道アスリート」に直撃してみようと思った。

 彼ら、彼女らにとって、文武両道とは一体何なのか? 「文」と「武」を両立することにどんな意味があるのか? 実際どのように文武両道を実践してきたのか?

 そんな疑問に迫る連載企画「文武両道の裏側」。第1回は、東京大学法学部を卒業し、現在はプロ野球・東京ヤクルトスワローズに所属する宮台康平投手にインタビュー。進学校の野球部時代や現役東大合格のエピソード、一軍に向けた思いについて語ってもらった。

一軍登板に向けて奮闘するプロ4年目の宮台康平一軍登板に向けて奮闘するプロ4年目の宮台康平

 東京六大学時代、東京大学野球部のエースとして、4年間で38試合に登板、6勝13敗の成績を残した宮台康平。

 大学3年時には日米大学野球選手権の日本代表に選出され、2017年のプロ野球ドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから7位指名を受け、東大から6人目のプロ野球選手になった。

 まさに、本連載企画の第1回にふさわしい、「文武両道アスリート」の最高峰とも言えるが、宮台自身はそう呼ばれることに、あまり納得はしていないようだった。

「僕が最高峰だとはまったく思いません。なにせ、プロで4年やってきて、1回しか一軍で投げられていないので......」

 宮台の一軍のマウンドでの初先発初登板は、2018年8月23日の福岡ソフトバンクホークス戦。5回途中4安打6四死球2失点で、勝敗はつかなかったものの、翌日には一軍登録を抹消されてしまう。

 続く2019、2020年は一軍に昇格できず、昨シーズン終了後、北海道日本ハムファイターズから戦力外通告を受け、トライアウトに参加。この時の好投で東京ヤクルトスワローズが獲得に動き、今シーズンに至る。

「プロではこれまで経験してきた以上の高い壁に直面しています。もう25歳ですし、これ以上体は大きくならない。そのなかで、試行錯誤しながら、やれることをやっていければと。今は挑戦する立場なので、その意味では、『文武両道』の途中だと思っています」

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