真中監督が思いを激白「小川泰弘の抑え。あれが最後の勝負手だった」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

ヤクルト真中満監督、惜別インタビュー(前編)

 成績不振の責任を取り、ヤクルト真中満監督が今シーズン限りでユニフォームを脱ぐことになった。退任会見で真中監督は「いい思い出はちょっとの時間で、苦しい時間が多かったですね」と言った。監督就任1年目にチームを14年ぶりのリーグ優勝に導いたが、2年目は5位、そして今季は断トツの最下位。さらに10月1日の中日戦で敗れ、球団ワースト記録となる95敗を喫してしまった。真中監督にとってこの3年間とはどんなものだったのか。

今季限りでヤクルトの監督を退任することになった真中監督今季限りでヤクルトの監督を退任することになった真中監督―― 退任を発表されてから、選手との距離が近くなったような気がします。

「縁があって、ここまで一緒にやってきましたからね。ちょっとですが、会話は増えたと思います。監督というのは、選手の生活権を左右する立場にあります。たとえば、(レベルが)同じような選手がいたとして、僕がどちらかを起用することで彼らの給料は違ってきます。特定の選手とよく話をしたり、どう見ても接し方が違ったりすれば、チームにいい影響はありません。それ(退任発表)までは意識的に距離を置いていました。石川(雅規)などは、僕の本来の性格をわかってくれているので、『監督はわざとそういう振る舞いをしているのだな』と理解してくれていたでしょうし、この3年間の選手たちへの接し方は間違ってなかったと思っています」

―― 監督就任1年目にリーグ優勝を果たしましたが、それではヤクルトは2年連続最下位でした。厳しい船出が予想されましたが、春のキャンプでは優勝宣言も飛び出しました。

「監督の話があったときは、『よし、彼らと一緒に強いチームをつくろう』と思いましたし、素直に『やってやろう』という気持ちでした。選手たちの能力や適性は、二軍監督や一軍の打撃コーチをしていたので、ある程度は把握していました。なので、少しばかり自信はありました」

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