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大谷翔平とともにドジャースタジアムもアップグレード インスタ映えポイントの充実とさらなる進化

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

大谷とともにアップグレードを図るドジャースタジアムは現在、大型の改修工事が進む photo by Getty Images大谷とともにアップグレードを図るドジャースタジアムは現在、大型の改修工事が進む photo by Getty Images

第4回/全4回:ドジャースタジアム大型改修の目的と背景

ロサンゼルス・ドジャースがこのオフ、1億ドル(150億円)の資金を投入して本拠地・ドジャースタジアムの改修を行なっている。

その責任者のジャネット・マリー・スミス氏へのインタビューでは、選手が利用するクラブハウス、スタジアムの歴史的価値について説明してもらったが、今回は球場に足を運ぶファンたちが楽しめるインスタ映えスポットについて、どのような狙いを持って改修を施したのか説明してもらった。

第1回〉〉〉王朝への第一歩 稼いだ利益はさらなる強化のために再投資
第2回〉〉〉スタジアム1億ドル改修の責任者にインタビュー
第3回〉〉〉大規模改修から見えてくるスタジアムの未来像

【税金ではなく民間の独立採算制で建設・運営】

 1990年代に入ると、ドジャースタジアムは時代の流れに取り残され始めた。1992年にボルティモアのカムデンヤードが開場して以降、MLBの球団の約3分の2が新しい球場をオープンさせ、広々としたロッカールームや室内練習場など、最新の設備を整えていった。また、観客席の通路は広々としたコンコースに改修され、歩きやすさが向上。通路脇にはおしゃれなレストランや売店が立ち並ぶようになった。これが実現できた背景には、各球団のオーナーたちが移転の可能性をちらつかせながら、州や地方自治体に新球場建設を認めさせてきたという事情がある。

 多額の税金を投じるプロジェクトには、雇用創出や観光振興といった見返りが期待される。しかし、それが確実に実現する保証はない。カリフォルニア州の住民はもともと税金をプロスポーツチームの施設に投入することに批判的であり、州法でも公共資金を使った大規模プロジェクトには厳しい規制が設けられている。

 そのため、ドジャースは税金に頼らない独立採算モデルを取り、民間資本を活用して球場を建設。その後も一貫して、この姿勢を維持している。

 ゆえに他球団と比べて後れを取ったのだが、現在のオーナーグループが2012年にドジャースを買収すると、すぐさま自己資金で1億ドルのスタジアムの改修に乗り出し、スミス氏を招聘したのだった。2012年のオフは、クラブハウスを改修、それとともに、六角形のビデオスコアボードや音響システムを新しくし、メインスタンドのコンコースを広げ、トイレも増やし、長い行列ができないようにした。

 そして2019年夏には、さらに1億ドルをかけた新たな大改修を発表。ファンのための新しいパーティ広場センターフィールド・プラザが設置され、外野スタンドとメインスタンドをつなぐエレベーターやブリッジが追加されることになった。

 スミス氏は一連のリフォームについて、「歩き回りながら楽しめるボールパークを目指しました」とコンセプトを説明する。かつてはアメリカでも、スポーツ観戦といえば、指定された席に座り、試合を最初から最後まで見るのが一般的だった。しかし、現代のファンが求めるものは変わった。重視するのは、快適さや利便性、そしてほかの観客とつながりを感じられるコミュニティのような雰囲気だ。

「リフォームで何を期待するか? とファンに調査すると、一番多い答えは歩き回りやすくすることでした。ドジャースタジアムは最高の立地で、ホームプレート側の最上階からダウンタウンの景色を楽しめる。センター側にはエリジアンパークが広がり、遠くにサン・ガブリエル山脈を見渡せる。エスカレータ―やエレベーターを整備し、球場全体を歩き回りやすくしました」(スミス氏)

 以前は、外野席はメインの観客席とは別で、ファンは球場全体を探索することはできなかった。そこをブリッジでつなげた。加えてレフトとライトの外野席はそれぞれ中央にカットアウト(切り抜いた)のスペースを設け、そこでもファンが出入りできる。

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著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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