【夏の甲子園2025】気鋭のライターの優勝校予想! 優勝争いの先頭を走るのは? 注目の初出場校は? (2ページ目)
菊地高弘氏(ライター)
優勝予想:聖隷クリストファー
今夏の横浜は神がかっている。神奈川大会準々決勝(平塚学園戦)で死線をくぐり抜けて以降、劇的な勝利が続いている。東海大相模との決勝戦を取材した際、試合前から横浜の応援スタンドの異様な熱気に圧倒された。スタンドを含めて「横浜は勝つ運命にある」と信じ切っているかのようだった。甲子園でも、何かを起こしてくれそうな予感がする。戦力的にも申し分なく、春夏連覇の可能性は十分にある。
そんななか、優勝予想として聖隷クリストファーを挙げることに「逆張り」という批判もあるだろう。ただ、トーナメントは一発勝負である。すばらしい投手と対戦し、打てなければ即敗退になる。
「初見で点が取れない投手」は誰か。自分のなかでふたりの投手が頭に浮かんだ。髙部陸(聖隷クリストファー)と西村一毅(京都国際)である。
昨夏はチェンジアップを武器にする左腕を擁するチームが、上位進出した。昨夏に優勝を経験した西村はもちろん、髙部もチェンジアップをマスターして投球の幅を広げている。
実績があり、研究される西村よりも、ニューフェイスの髙部のほうが勝ち上がる可能性がある。そう考えて、聖隷クリストファーを予想させてもらった。
今夏の静岡大会で初めて髙部を見た時には、衝撃を受けた。球速表示は140キロ台前半でも、美しいバックスピンがかかったストレートは捕手に向かってホップするような体感。カットボールなどの変化球の精度も高く、遮二無二三振を狙いにいく投球でもない。2年生にもかかわらず、今秋のドラフト会議で上位指名されるレベル。前田悠伍(ソフトバンク)の高校時代と比肩する実力で、センセーショナルな甲子園デビューになる予感がする。
聖隷クリストファーは甲子園初出場だが、髙部のワンマンチームというわけでもない。2番手投手の上田一心は右のサイドハンドで、髙部と個性がまったく異なる。シュート質のストレートとスライダー系の球種を使って、ホームベースをワイドに使える。今夏の静岡大会は15イニングを投げて無失点と好調をキープしており、頼もしい存在だ。
守備も強肩捕手の武智遥士を中心に、センターラインが堅い。打線は突出した打者はいないものの、全体的にスイングは力強く、バランスは取れている。
難を挙げるとすれば、2回戦を勝って以降は中1日が続く日程面になりそうだ。序盤戦を髙部、上田の二枚看板で消耗を抑えられたら、旋風の予感が漂ってくる。
チームバランスの取れた沖縄尚学、西日本短大付もダークホースになると予想する。
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