2022.03.21

「まだプロはあきらめていません」。オーバー24、ドラフト戦線を賑わす社会人の実力者たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「正直言って、まだプロをあきらめていません。目指せるなら目指したいんです」

 船迫大雅(ふなばさま・ひろまさ/25歳)の語気が強くなった。東日本国際大から西濃運輸に入社して4年目のサイドスロー右腕。10月には26歳になるが、いまだにプロ入りへの意欲は衰えていない。

 社会人チームからプロ入りする場合、年齢はひとつの分水嶺になる。大卒の選手ならドラフト指名が解禁になる2年目、24歳が大きな区切りになる。プロ志望だった選手でも、その多くは「都市対抗で優勝したい」「1年でも長く現役生活を送りたい」と気持ちを切り替えていく。

 だが、プロ入りへの「適齢期」を過ぎてもなお、進化し続ける選手もいる。なかには「この選手がなぜアマチュアなのか?」と思わせるような、ハイレベルなパフォーマンスを見せる選手もいるのだ。

沢村賞右腕は26歳でプロ入り

 26歳でドラフト指名を受け、プロで沢村賞を受賞した攝津正(元ソフトバンク)は、こんなことを語っていた。

「社会人野球のトップレベルのピッチャーには、プロで十分通用する実力があると思います」

 船迫はまさに「プロの世界で通用するのでは?」と思わせる能力の持ち主だ。昨年11月の都市対抗での投球は圧巻だった。最速150キロをマークするなど、常時140キロ台後半の快速球で押しに押した。コーナーに集める制球力やスライダーの精度も高い。174センチ74キロと体格的に恵まれてはいないものの、船迫ほどのボールを投げるサイドハンドはプロの世界でも少ないだろう。

 今季から西濃運輸の監督に就任した佐伯尚治監督も「スカウトの方も見ているでしょうし、チャンスがあれば目指してもらいたい」と船迫の背中を押す。佐伯監督は選手時代、2014年に都市対抗優勝に導き、橋戸賞(最優秀選手賞)を獲得したレジェンドだ。速球派の船迫とはタイプは異なるものの、自身も現役時代はサイドハンドだったこともあり、注文は自然と高度になる。