【新車のツボ67《特別編》】
東京モーターショー直撃レポート
この原稿を書いている11月25日現在、東京ビッグサイトでは2年に1度のクルマの祭典"東京モーターショー(東モ)"が開催中である(12月1日まで)。というわけで、今回は特別編として「東モで見つけた私のツボ」をつらつらと紹介したい。
【日産IDx(アイディエックス)】
これはマツダ・ロードスターと同程度の小さな後輪駆動クーペである。現状ではとくに具体的な商品化計画もなさそうで、ちょっとした思いつきコンセプトカーでしかない。デザインの元ネタもオヤジ世代にはすぐにピンと来るもので、1960年代から70年代にかけてのブルーバードやスカイラインである。
ミニやVWビートル、あるいはフォード・マスタングなど、こういうレトロ路線は欧米ではひとつの常套手段で、このIDxも二番煎じかつ安易(失礼!)だが、私のようなオヤジは「売ってくれたら、マジほしい」と素直にツボってしまうのも事実。
今の時代、スポーツカーのデザインで純粋かつ真面目に機能を追求したら、ほとんどヒコーキかガンダムみたいにしかならない。まあ、それはそれでいいが、ハッキリいうと、それでは"萌え"がないのだ、最近のオヤジマニアには。だったら、あざとくてもなんでも、こっちのほうがツボである。スポーツカーを出しても継続的に売れない今の時代に、それでもスポーツカーの生き残る道はここにあると思ったりする。
【スズキ・ハスラークーペ】
今回のスズキブースには今年末発売予定の新型軽自動車"ハスラー"が展示された。真四角のハイトワゴンボディをちょいとレトロSUV風に仕立てたクルマである。
で、このクルマはそんなハスラーの屋根を斜めにカットしてクーペ仕立てにしたコンセプトカー。今のところ発売予定はなさそうだが、屋根まわりのデザインを変えただけなので、商品化への技術的ハードルはなさそう。
普通のハスラーもすでにクルマ好きオヤジ連中にはちょっと話題なのだが、個人的にはこのクーペの絶妙な猫背ラインがさらにレトロ感を強調していて、めっちゃツボ。リアドアを隠しハンドルにするなど芸も細かい。クーペといっても4ドアだし、もともと背が高いので、こうしてクーペ化しても室内の使い勝手にあまり影響がなさそうなのがイイ。
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著者プロフィール
佐野弘宗 (さの・ひろむね)
1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/