【箱根駅伝 名ランナー列伝】大迫傑(早稲田大) 駅伝3冠を達成した男が「世界」を目指して選んだ道
1区での逃げきりで1年時から衝撃を与えた早大・大迫傑 photo by 代表撮影/共同通信
箱根路を沸かせた韋駄天たちの足跡
連載24:大迫傑(早稲田大/2011〜2014年)
いまや正月の風物詩とも言える国民的行事となった東京箱根間往復大学駅伝競走(通称・箱根駅伝)。往路107.5km、復路109.6kmの総距離217.1kmを各校10人のランナーがつなぐタスキリレーは、走者の数だけさまざまなドラマを生み出す。
すでに100回を超える歴史のなか、時代を超えて生き続けるランナーたちに焦点を当てる本連載。第24回は、世界を見据える姿勢を貫いた早稲田大の大迫傑を紹介する。
【衝撃のルーキーイヤーは駅伝三冠にも大きく貢献】
「箱根から世界へ」という言葉を圧倒的な情熱で"体現"した選手がいる。名門・早大に悲願だった駅伝3冠を引き寄せ、世界のトップランナーへと駆け上がった大迫傑だ。
東京都出身の大迫は長野・佐久長聖高に進学。全国高校駅伝では2年時にアンカーとして初優勝のゴールに飛び込み、3年時は1区で区間賞を獲得した。
早大進学後も快進撃は続く。1年時(2010年)は世界ジュニア選手権10000mで8位入賞。出雲駅伝は2区3位で14年ぶりの優勝に貢献すると、全日本大学駅伝では2区で7人抜きの快走を見せた。11月の上尾シティハーフマラソンではジュニア(U20)日本記録(当時)となる1時間01分47秒で優勝している。
そして迎えた2011年の箱根駅伝。1区に起用されたスーパールーキーが衝撃の走りを披露する。
スタートから1kmを2分53秒で通過すると、反応したのは佐久長聖高の先輩でもある日大・堂本尚寛だけだった。5kmを14分33秒、10kmを29分02秒で突っ走る。11.4km付近で堂本を振りきると、独走態勢を築いた。
「スタートから自分の感覚で押していくつもりでした。序盤から抜け出すかたちになりましたが、後ろは気にせず、5km14分30秒ペースでいきました」
終盤はペースを落としたものの、1時間02分22秒で区間賞。3位以下に1分53秒以上の大差をつけた。このアドバンテージを生かした早大は18年ぶりの総合優勝を飾り、史上3校目の駅伝3冠を達成した。
2年時はユニバーシアード(現ワールドユニバーシティゲームズ)の10000mで金メダルを獲得。箱根駅伝で再び1区に起用されると、前年以上の積極策に出る。10kmを28分31秒で通過すると、11.7km付近で日体大・服部翔大を引き離した。1時間02分03秒で2年連続の区間賞。だが、本人に満足感はなかった。
「後半は思うようにカラダが動かずに、伸びが少し足りなかった。それが反省点。1分台では行きたかったので、タイム的には課題が残ります」
チームも5区で東洋大・柏原竜二に突き放され、総合4位。大迫にとって悔しい箱根駅伝となった。
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著者プロフィール
酒井政人 (さかい・まさと)
1977年生まれ、愛知県出身。東農大1年時に出雲駅伝5区、箱根駅伝10区出場。大学卒業後からフリーランスのスポーツライターとして活動。現在は様々なメディアに執筆している。著書に『箱根駅伝は誰のものか』『ナイキシューズ革命 〝厚底〟が世界にかけた魔法』など。

