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【追悼】ケンコバが語るドリー・ファンク・ジュニアの「不穏試合」 ブロディに吐血・失神させられた"息子"は実在したのか (3ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

【続かなかった因縁のストーリー】

――その試合はテレビ中継され、実況した日本テレビの倉持隆夫アナウンサーはディンクくんを「20歳の大学生で考古学を勉強している。プロレスを知りません」と紹介していました。

「ドリーさんは吐血して失神したディンクくんの上半身を起こし、悲しげな顔をして心配そうに抱きしめました。激高したテリーは、『医者はどこだ!』と叫んでいた。リング上は修羅場と化していて、それだけでも大事件なんですが、俺が最も"不穏"だと思うのはまた別の場面なんです」

――そんな衝撃の場面より"不穏"なことがあったんですか?

「あそこまでの事件が起きたにも関わらず、続きのストーリーがほとんどなかったことです。俺の記憶だと、そのあとの全日本プロレス中継や、当時は月刊だった『ゴング』をはじめ各プロレス誌も、ディンクくんの吐血失神事件をあまり報じていなかったはず。それで『これはどういうことなんや?』と困惑したんです」

――確かに3日後のタイトルマッチと絡めて、ドリーさんとブロディの遺恨を深めるに十分な事件になったはずですね。

「そうなんです。息子がブロディにやられ、失神して口からドクドク血を吐いている。その息子を抱きしめるドリーさんは悲しい顔をしている。わかりやすい対立のストーリーができたはずなんですよ。

 なんならディンクくんが、ブロディへの報復を誓ってプロレスラーとしてデビューする展開があってもよさそうなものですよね。そうすれば、ドリーさんとの親子タッグやテリーとのコンビが実現して面白くなると期待していたんです。だけど、ディンクくんが関わったあの事件が、もともとなかったかのように進んでいったんです」

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