【ボクシング】山中慎介から見た「井上拓真vs.那須川天心」のカギは「最初の4ラウンド」 初戦と"距離感"や戦い方はどう変わるのか (3ページ目)
【最初の4ラウンドがカギ】
――今回、会場は初戦と同じTOYOTA ARENA TOKYO。WBCのタイトルマッチなので、オープンスコアリングシステムが採用され、4、8ラウンド終了時にポイントが公開されます。
山中 そこはかなり影響が大きいと思います。お互いがどういう入り方をして、4ラウンドが終わった時点でどんな採点が出るのか。それによって、そのあとの戦い方も変わってきますから。
――初戦は4ラウンド終了時、ジャッジ3者とも38-38のイーブンでした。
山中 僕は39-37で天心もあるかな、と思って見ていました。でも実際はイーブン。ここは天心にとってはけっこうキツかったと思います。ポイントで追いつかれて、試合の流れは拓真がつかんでいましたからね。
――山中さんは、オープンスコアリングについてはどう考えていますか?
山中 選手にとっては自分が勝っているのか負けているのかがわかるので、戦いやすさはあります。お客さんも状況がわかるし、その点でのよさはある。ただ、ポイント差が大きいとリードしている側が安全運転になって、試合がエキサイトしないパターンもあります。
――両者のこれまでの戦い方を踏まえると、ポイントを取り合う試合になる?
山中 もちろんKOの可能性はありますけど、両者とも基本的にはポイントを積み重ねながら試合を組み立てるタイプですよね。だからこそ途中で採点がわかれば、そのあとの戦い方にも大きく影響すると思います。
――今回も判定までいく可能性は高いと見ますか?
山中 両者ともディフェンス能力が高くて、一発で倒すタイプではありません。前回と同じように12ラウンドのなかで、細かい攻防とポイントの取り合いになっていく可能性は高いんじゃないでしょうか。
――両者とも前戦でいい勝ち方をしたことで、再戦の見方も変わりましたか?
山中 そこが一番楽しみなところですよね。拓真が井岡、天心がエストラーダにいい勝ち方をした。それがこの一戦をさらに熱くしましたね。前回の対戦結果から拓真有利と見る声も大きいと思いますけど、僕は両者の前戦を見て「わからない」というのが正直なところです。そうさせる天心もまたすごいなと思いますね。
【プロフィール】
■山中慎介(やまなか・しんすけ)
1982年滋賀県生まれ。元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎氏が巻いていたベルトに憧れ、南京都高校(現・京都廣学館高校)でボクシングを始める。専修大学卒業後、2006年プロデビュー。2010年第65代日本バンタム級、2011年第29代WBC世界バンタム級の王座を獲得。「神の左」と称されるフィニッシュブローの左ストレートを武器に、日本歴代2位の12度の防衛を果たし、2018年に引退。現在、ボクシング解説者、アスリートタレントとして各種メディアで活躍。プロ戦績:31戦27勝(19KO)2敗2分。
著者プロフィール
篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)
フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。
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