K−1ファイターで美容師の菅原美優。「最初は格闘技だけ」のはずが、なぜ「二刀流」の選手になったのか

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 撮影●田中亘 photo by Tanaka Wataru

女子格闘家ファイル(5)
菅原美優インタビュー 前編

(連載4:「強すぎるRIZIN女王」は教員を目指す大学院生だった。伊澤星花が振り返る柔道から総合格闘技への転向と、頂上までの2年間>>)

今年6月に行なわれた『K-1』初の女子大会『初代女子アトム級王座決定トーナメント』。菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)は、決勝でパヤーフォン・アユタヤファイトジムに延長の末、判定で敗れ初代女王の座を逃した。再起戦は10月の『Krush.142』。チャン・リー(K-1ジム五反田チームキングス)を相手に3度目の防衛戦に臨む。菅原に防衛戦について、そしてK−1ファイターと美容師との"二刀流"について伺った。

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負けたパヤーフォン戦「後悔はない」

――まずは、6月に行なわれた『K-1』初の女子大会についての感想をお願いします。

「大会の内容的にはよかったかなって思うんですが、イベント面などはもうちょっと頑張っていかなきゃいけないと感じました。ただ、女子だけの大会はやっぱりうれしかったです。女子しかいない計量、女子しかいない控え室、すごく新鮮でしたね」

――集客でいうと、前週が『THE MATCH』だったので、ファンも一点集中だったこともあると思います。

「そうですね。あれだけ大きな大会で大盛り上がりでしたから」

――結果は準優勝。決勝の相手、パヤーフォン・アユタヤファイトジム選手はいかがでしたか?

「想像以上ではなかったですし、届かない存在ではないと思ったので、やっぱりあと一歩が悔しいですね。この負けを無駄にしないように、負けてよかったと思えるくらい、これから頑張らないといけないと切り替えて、次に進もうと思います」

――試合後、バックステージで涙する姿もありました。気持ちはすぐに切り替えられるほうですか?

「そんなにあとを引くほうではないですけど、試合が終わってからしばらくは、ふとした瞬間にバッと思い出すんですよね。そうすると、メッチャ落ち込みます。負けがフラッシュバックしてくるんですけど、次に勝つまでは消えないので。思い出す度に、二度とこんな気持ちにならないように頑張ろうと、負けを受け止めました」

――切り替えて次に向かっている感じですね。

「そうですね。昨年の5月、MIO選手に負けた時は、自分がやるべきことができなくて負けて、後悔が大きかったんです。でも、パヤーフォン選手との試合は、自分がやれることはやったつもりだし、アクシデント(相手の肘が菅原選手の眉間に入り流血)もあったなかで、精一杯やった結果なら受け止めるしかない。だから後悔はないです。ただ悔しいから、もっと頑張ろうって。ただ、試合が終わったあと、次の試合までちょっと時間が欲しいと代表の方とかに話しました。ずっと試合が続いていたのもありますし、格闘技をもっと好きになる時間も欲しいし、自分が強くなるための練習をしたいから。試合の間隔を空けて欲しいという相談を初めてしましたね」

――節目の大会を終えたことに加えて、ケガもありましたしね。

「肘が眉間に当たっちゃって、過去一番、ファイターらしい顔になりました(笑)。でも、コンタクトスポーツなので仕方がないです。それもあって、少し間隔を空けたかったんですけど......実は先ほど、10月に試合が決まりました。『Krush』です。最初は9月って言われたんですが、早すぎって(笑)。防衛戦になります」

取材中に関係者から連絡が入り、次戦が決定した。
「Krush.142」(10月28日、東京・後楽園ホール)
菅原美優vsチャン・リー
Krush女子アトム級タイトルマッチ3分3R延長1R、
菅原にとって3度目の防衛戦となる。

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