日本女子テニス「6人のティーンエイジャー」が次々と世界へ 海外メディアも注目するニューウェーブ (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【なぜ日本から次々と台頭しているのか】

 これら日本ジュニア勢の躍進は、世界的にも注目を集めている。

 とりわけ昨年の全米オープンジュニアでは、第3シードの石井を筆頭に、齋藤が第4、クロスリーが第5、小池が第6シード入り。この現象はITF(国際テニス連盟)の公式ウェブサイトでも、「New wave of Japanese talent make their presence felt at US Open(日本の新勢力が全米オープンで存在感を示す)」と題して報じられた。

 記事内では、石井の父親が横浜ベイスターズで活躍した野球選手であることや、齋藤の「対戦したら勝ちたいけれど、オフコートでは友人」のコメントにも言及。「日本の若きスター選手たちの躍進は、注目に値するだろう」の一文で、この記事は結ばれている。

園部奏八●2008年1月17日生まれ photo by AFLO園部奏八●2008年1月17日生まれ photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 世界的にも珍しい、一国からの一大勢力の台頭が、なぜ日本で起きているのか?

 誰もが抱くだろうこの問いに、簡潔でわかりやすい答えはない。なぜなら前述した選手たちはみな、各々が異なる道を歩んで、今の地位まで来たからだ。

 群馬県生まれの齋藤と、大阪府育ちの木下が初めて対戦したのは11歳の時。「富士薬品セイムスウィメンズカップ」の決勝が、その舞台だ。

 この大会は、将来有望な若手を発掘し、サポートするためのいわば選考会。決勝では齋藤が勝ちその権利を勝ち取ったが、準優勝の木下も関係者たちの評価が高く支援選手に選ばれた。

 それが契機となり、ふたりは11歳の頃から海外遠征の経験を積む。以降から現在に至るまで、齋藤は地元のMAT Tennis Academyを拠点とし、木下は今年の春に地元を離れ、元世界24位の神尾米の門を叩いた。

小池愛菜●2006年11月21日生まれ photo by AFLO小池愛菜●2006年11月21日生まれ photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る この齋藤と木下を"国産組"と呼ぶならば、石井と小池、そして園部はアメリカのIMGアカデミー組である。ただ、アカデミーに来た経緯は、みなバラバラだ。

 石井は、彼女を支援する人々の勧めや人脈を辿って渡米。小池は、父親の仕事の関係でIMGアカデミーの近くに移り住んだのが縁。園部は、盛田正明テニスファンドの支援を得たためで、錦織圭や西岡良仁らと同じ世界への順路を歩んでいる。

 他方、クロスリー真優が拠点とするのは、米国フロリダ州のクリス・エバート・テニスアカデミーである。エバートは元世界1位にして、女子テニス界最大のスターのひとり。その薫陶を受けたクロスリーは、来年からカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学し、大学リーグで実戦経験を積む予定だ。

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