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鉄人・上野由岐子、44歳の金メダリスト 葛藤もありながら2028年ロス五輪に向けて「まだソフトボールをやりたい」 (4ページ目)

  • 松瀬 学●取材・文 text by Manabu Matsuse

【やれるうちが花だよな】

 上野が2001年に日立高崎(現・ビックカメラ高崎)に入社した時から、ずっと指導している宇津木妙子氏(日本ソフトボール協会・終身名誉監督)もこう語る。

「最終的にはソフトボールが好きなんですよ。『上野由岐子=ソフトボール』です。ただ、自分の考えで辞めたいと言いにくいのは、逆にかわいそうだと思うよ。

 表でも、陰でも、すごく努力しているよ。トレーニングも、食事も、体調管理も。年齢とともにいろいろ考えている。本人も勉強している。やっぱり、ここが強いんだよ、ここが」

 そう言って、右手で指した先には心臓(ハート)があった。

 強くて豊かな「心」も、冷静な「頭」も、健康な「体」があればこそ──。そういった意味では、北京五輪前から上野をサポートしている名トレーナー鴻江寿治(ひさお)氏の存在は大きい。

 体のメカニズムや骨盤・骨格の説明を受け、どういうバランスでプレーすると効果的なのか、どうケアすればいいのか、ずっと指導を受けてきた。上野は「(鴻江)先生がいるからこそ、現役選手でまだやれているのかなというのは肌で感じています」と言う。

 ただ、「年相応に、体は疲弊しています」とも打ち明ける。

「神経質にならずに、でも雑にならずに──。選手としてやらないといけないことと、自分の心を満たすためにやりたいことを、上手に天秤にかけながら選択している生活をしていますね」

 最後に、上野は冗談口調で言う。

「若い時は正直、自分がこんなに長くソフトボールを続けているとは想像してなかった。自分でもどこまでできるんだろう、どこまでやりたいのだろうと、妙な葛藤はありながらも、『やれるうちが花だよな』とも思っています」

 これが最後のアジア大会、とは考えている。「次はもうない。自分の心がそう言っている気がします。次はスタッフの立場で出ると思います」と笑った。

 新たなターゲットは、2028年ロサンゼルス五輪の出場枠をかけた「ワールドカップファイナル2027」だ。来年4月にオーストラリアで開催されるこの大会に、上野は後藤ら若手とともに挑む。

「やっぱり、ここで満足してはいけない。まだ、ソフトボールをやりたいんです」

 44歳の挑戦は、まだ終わらない。

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