鉄人・上野由岐子、44歳の金メダリスト 葛藤もありながら2028年ロス五輪に向けて「まだソフトボールをやりたい」
これも、44歳のレジェンドの存在感なのか。上野由岐子は投げなくとも、日本をアジア大会7連覇に導いた。ソフトボール決勝戦、日本はライバル中国を相手に5回裏で7対0とし、コールド勝ちとなった。
秋晴れの10月3日、安城市総合運動公園ソフトボール場。宇津木麗華ヘッドコーチによると、上野は6回からマウンドに上がる予定だった。4回裏、5対0とリードした日本のベンチから上野がグラウンド脇に出て、キャッチボールを始める。肩はすぐに出来上がった。
日本は5回裏、チャンスを広げた。上野の述懐。「コールドゲームになりそうだったので、投球練習をさっさと切り上げて、ベンチに帰った時でした」。2死満塁から藤本麗(うらら)が中前2点適時打を放ち、7点差とした。ゲームセット──金メダルだ。
後藤希友(左)と上野由岐子(右)の年齢差は19歳 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る 上野はベンチを飛び出し、グラウンドの歓喜の輪に飛び込んだ。満員のスタンドに何度も手を振った。もう笑うしかあるまい。
「何というか、想定外の試合展開でした。(救援登板の)準備はしていたんですけど、まあ、正直、気持ち的にはラクでした。こればっかりは仕方ないです。とりあえず、勝ててよかったです。(アジア大会7連覇は)神様からのご褒美だと思って、しっかり噛み締めたいと思います」
決勝で登板はなくとも、日本の投手陣をリードしたのは上野である。「何かあったら私がうしろでちゃんと準備しているから、思いっきり行ってこい──という感じでした」と上野が言えば、5回無失点で投げ抜いた先発の25歳・後藤希友(みう)はこう感謝した。
「まだまだ(上野に)おんぶに抱っこなので、うしろにいてくれる存在としてすごく心強いです」
上野は今大会、10月1日のチャイニーズ・タイペイ戦では3回からロングリリーフで5回5安打1失点。2日の1次リーグ最終戦の中国戦では、6回途中から投げて無安打無失点と完璧に締めくくった。球数は合わせて、わずか96球だった。
宇津木ヘッドコーチはこう語る。
「ピッチャー陣を引っ張ったのは、間違いなく上野だと思っています。ピッチングのレベルも全然落ちていない。さらに目に見えないところでもチームに貢献しているのが、上野のすごさじゃないかなと思います」
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