2013.02.06

【NFL】レイブンズがスーパーボウル制覇。勝敗を分けた「残り5ヤード」

  • 永塚和志●文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

「スーパーボウル制覇」という最高のエンディングで締めくくったレイブンズのレイ・ルイス 現地2月3日、アメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズのメルセデスベンツ・スーパードームで行なわれた『第47回スーパーボウル』は、サンフランシスコ・49ersを34-31で破ったボルチモア・レイブンズが、2001年以来となる球団史上2度目のNFL王者に輝いた。

 試合は序盤から主導権を握り、ハーフタイムまでに21-6と大きくリードしたレイブンズが、このまま逃げ切るかと思われた。しかし第3クォーター早々、ドーム全体が停電となるアクシデント。約35分間もの中断を余儀なくされた結果、試合の主導権は一気に49ersへと傾いた。後半は一方的に49ersの反撃を食らい、試合時間残り10分を切ったところで、スコアは31-29。レイブンズはついに、2点差まで追い上げられることになる。しかし、土壇場になってレイブンズは持ち前のディフェンス力を発揮。最後の最後で驚異的な粘りを見せ、12年ぶりに王座を奪還した。

 勝負の分かれ目となったのは、試合時間残り4分19秒から始まった49ersのオフェンスシリーズだった。自陣20ヤード地点から攻撃を開始した49ersは、QBコリン・キャパニックのパスとRBフランク・ゴアのビッグプレイで、相手陣地5ヤード地点までボールを進める。しかしここから、レッドゾーン(※)で鉄壁の守備を誇るレイブンズが完璧なディフェンスを見せた。何度も相手の攻撃を弾き返し、49ers最後のギャンブルも、反則すれすれのタイトなマークで食い止めたのである。

※レッドゾーン=エンドゾーンの手前20ヤードからゴールラインまでのエリア

 ローシードのチーム(レイブンズ=AFC第4シード)がスーパーボウルに駒を進める例は、近年、決して珍しいものではない。しかし、レギュラーシーズン最後の5試合で1勝4敗だったレイブンズが優勝すると、プレイオフ前に予想したNFL関係者は少なかった。アメリカンフットボールの世界では、『ディスガイズ(相手に守備隊形を読まれないための偽装)』という単語をしばしば引用するが、レイブンズのレギュラーシーズンからプレイオフへの変身ぶりは、まさしく『ディスガイズ』そのものだった。

 彼らを変身させた最(さい)たる要因は、ディフェンスの要としてレイブンズ一筋17年間プレイしてきたLBレイ・ルイスがプレイオフ直前に表明した、「今季限りの引退」だろう。「ルイスと少しでも長くフィールドにいたい」というチームメイトの熱い思いは、ポストシーズンでのプレイでも伝わってきた。今季、レイブンズは故障者を多く抱え、かつてのような力強いディフェンスはすっかり影を潜めていた。しかし、レイブンズ自慢のディフェンス陣は、ルイスが17年間かけて築き上げてきたもの。スーパーボウル終盤で見せた彼らの勝負強さは、その真骨頂だった。