奇跡の集結から29年。初代「ドリームチーム」12人たちの今(前編)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Getty Images

 新型コロナウイルスの収束が見えずに予断を許さない東京五輪だが、予定どおりに開催されれば、男子バスケットボールで3大会連続金メダル獲得中のアメリカ代表が再びスター軍団の"ドリームチーム"を送り込んでくる。

◆ドリームチーム誕生秘話。「奇跡の12人」が集結した、知られざる真実>>

バルセロナ五輪に出場した初代ドリームチームバルセロナ五輪に出場した初代ドリームチーム 気がつけば、初代ドリームチームが1992年バルセロナ五輪でお披露目をしてから29年もの時が経った。

 この五輪からプロ選手の参加が認められ、マイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ/当時・以下同)やマジック・ジョンソン(ロサンゼルス・レイカーズ)、ラリー・バード(ボストン・セルティックス)といったNBAを代表するスター中のスターたちがロースターに名を連ねた。"ドリーム"という形容は決して誇大ではない。ドリームチームと呼んでいいのはこの初代だけだ、という者もいる。

 もっとも、今のNBA選手や若いファンの多くは、現役当時の彼らのプレーを見ていない。

 米スポーツアパレルメーカー・ナイキ社のプレミアラインであるジョーダンブランドは、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)が契約したことで日本でも有名だ。だが、バスケに興味のない若者たちにとってジョーダンは「シューズブランドのおじさん」という認識も多い。どれだけ彼らが当時のバスケットボールの頂点にいたとしても、年月の経過には抗えないということだ。

 当時のメンバー12名は全員、現役生活をとうの昔に終えているが、はたして今はどういう活動をしているのだろうか。

 マジックはMLBロサンゼルス・ドジャースなど複数のスポーツ球団のオーナーグループの一員として、現役当時のプレー同様、派手に立ち回っている。ジョーダンはシャーロット・ボブキャッツの筆頭オーナー職を務める一方、ジョーダンブランドの売り上げによる収入は年間100億円をゆうに超えている。

 彼らふたりのスポーツ界における存在感は、今もって傑出している。また、そのほかの"ドリームチーマー"たちも築いた巨額の富をもとに、レストランや不動産経営に携わるといった例が多い。

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