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久保建英のホーム最終戦になる可能性も? くすぶり続ける移籍説のなかで2戦連発なるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【今季の補強も及第点に及ばず】

 久保自身、ラ・レアルの枠に収まりきらなくなりつつあるのは事実だろう。

 ジャパンツアーではチームの補強に苦言を呈し、それはさまざまな形で受け止められている。その内容は、筆者がこれまで書いてきたことと同じで正論でも、ひとりの選手がチームに対し公然と注文をつけることは、反発も引き起こす。彼の性格を知っている者であれば、悪気がないことは十分に理解できるが、傲慢な意見だとも受け取られるのだ。

「自己批判が旺盛な一方、要求も大きい」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』のコラムでは、久保のパーソナリティに理解を示しつつ、言動に疑問も呈している。また、ラ・レアルの関係者からも、「タケは純粋なのだろうが、思ったことを言葉にし過ぎる。試合後のコメントや行動も含めて、内部での関係性が心配になる」という懸念の声が聞こえる。それはラ・レアルだけでなく、スペインの多くのクラブでの標準的な感覚で、采配や戦い方への批判はタブーなのだ。

 ひるがえって、シーズンオフの補強は久保が満足できるものだったか?

 客観的に評価するなら、「批判するほど悪くはないが、及第点には届かない」といったところか。

 司令塔であるマルティン・スビメンディがアーセナルに移籍し、原稿執筆時点で、代わりのMFは獲得できていない。ジローナのベネズエラ代表ヤンヘル・エレーラに絞って交渉を続けるも、すでにシーズンは始まっている。例年どおりだが、ラ・レアルの強化は動きが遅すぎる。左利きセンターバックはナイエフ・アゲルド(ウエストハム)の代わりにチャレタ・ツァルを獲得できたのは朗報だが、攻撃の切り札として獲得したゴンサロ・ゲデスは波があるアタッカーだ。

 そもそも久保のラ・レアル入団後、彼以外に獲得した選手で額面通りのプレーができたケースはひと握りだろう。大金を使ったウマル・サディクは大外れ。FWオーリ・オスカールソン、シェラルド・ベッカー、MFアルセン・ザハリャン、ルカ・スシッチ、セルヒオ・ゴメス、DFアルバロ・オドリオソラなど、ことごとく戦力になりきっていない。右サイドバックはアマル・トラオレやジョン・アランブルが一定の成功例と言えるが、もともといたアンドニ・ゴロサベルでも十分に稼働できたはずだ。

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