プレミアリーグで今季見ておくべき注目選手たち 水沼貴史のオススメは「チームを支えている存在」
プレミアリーグ中間地点のおススメ 選手編
今、世界中から注目を集める、イングランドのプレミアリーグで見逃せない選手は誰か? 試合中継の解説を務める水沼貴史氏にオススメのプレーヤーを教えてもらった。
リバプールのフラーフェンベルフ(左)とニューカッスルのイサク(右) photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【チームの攻守を支えている選手たちに注目】
今季の注目選手の筆頭と言えば、リバプールのMFライアン・フラーフェンベルフ。アンカーとしてアルネ・スロット監督に見出されて信頼を勝ち取り、首位を独走するリバプールのなかで、いまや欠かせない存在だ。
彼はアンカーの位置からもっと前へ出ていける選手だと思うが、今は周りの選手とのバランスを見ながら自重している部分もある。チームのスタイル的に縦に速いので、一見全体が間伸びしそうにも見えるが、彼が後ろでバランスを取って守備面でフィルターになったり、攻撃では前線へミドルやロングのパスが出せたりと、彼の総合的な能力は今のリバプールのサッカーには貴重なピースになっている。
個人的に昔から好きなのが、アストン・ビラのMFジョン・マッギン。見た目は無骨で"ザ・ファイター"という風貌ながらチームの戦術的なキーマンだ。ボランチもやるし、両サイドハーフもやるし、トップ下もやる。そのなかで、相手のキーマンを潰したり、相手を攻略するために「ここにポジションを取って」という場所に動くとか、そういうこともできる選手だ。
ストライカーやウイングなど、前線で決定的な仕事をする選手にボールを渡すために、チームとしてどうボールを運ぶか。マッギンはそうしたところで必要な選手だと思う。チャンスメイクの1つ、2つ前のところで「この選手いいところにいたよね」と、そういう目立たないけれどチームとして重要な仕事ができるマッギンのような選手は、監督としては非常にありがたい存在だ。
FWアーリング・ハーランドやFWジェレミー・ドク(ともにマンチェスター・シティ)などは見ていてすごさがわかりやすく、そう言った選手たちを見て「やっぱすげえ!」と楽しむのもプレミアリーグの醍醐味だが、マッギンのようなチームを支えるいぶし銀のプレーにも注目してもらいたい。
注目チームでも取り上げたが、ノッティンガム・フォレストのDFムリーリョというセンターバックも非常に面白い存在だ。なにより他のプレミアのチームのセンターバックたちと比べて体格が異質。体の横幅が広くて、一見、シニアリーグの選手がひとり混ざっているかのよう。
けれど、シュートブロックと左足のビルドアップ能力に優れていて、隣でプレーする相方のDFニコラ・ミレンコビッチと非常にいいコンビネーションを見せる。見ていて楽しい選手なので、その異質な存在感を堪能してもらいたい。
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著者プロフィール
水沼貴史 (みずぬま・たかし)
1960年5月28日生まれ。埼玉県出身。浦和南高校、法政大学で全国優勝を経験。JSL日産自動車でも数々のタイトルを獲得し、チームの黄金時代を築いた。日本代表では国際Aマッチ32試合出場7ゴール。Jリーグスタート時は横浜マリノスで3シーズンプレー。引退後は、横浜F・マリノスのコーチや監督を務めた。現在は解説者として活躍中。