15年前にジュビロのN-BOXが
体現した「日本人らしいサッカー」 (3ページ目)

ベースにあったオランダのエッセンス

　2001年の試合映像を見た名波浩が「今風だよね」と語った（連載第３回）ように、15年以上経った今なお、N-BOXは色褪せていない。それは、いったいなぜなのか――。

磐田だからこそ可能だった、N-BOXによる緻密なサッカー photo by AFLO　その疑問を解くカギは、オランダのトータルフットボールにあった。磐田がＪリーグに昇格した1994年から３年間、指揮を執ったハンス・オフトはオランダの指導者で、かつてヤマハ発動機の臨時コーチを務めたこともあった。その影響について、鈴木政一が振り返る。

「僕は現役時代、ヤマハでハンスの指導を受けているし、ジュビロでもスタッフとしてハンスと接してきたから影響はかなり受けていると思います。一方、選手たちもハンスからグループ戦術や個人戦術などの基礎を徹底的に叩き込まれていますから」

　攻撃力に長けたチームだから、攻撃の時間をできるだけ増やすために、ボールを集団で素早く回収するというN-BOXのコンセプトの背景には、オランダのトータルフットボールのエッセンスがあったのだ。それはすなわち、現代サッカーに通じるものでもある。