日本代表における三笘薫の序列はサブのままでいいのか。課題は本人も自覚する「連係の乏しさ」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「(自分のポジション的な序列は)特に変わっていないです。ブラジル戦もベンチでしたし。今日も(途中出場で)結果を出さないといけなかったですが......」

 0-3で完敗したチュニジア戦後、三笘薫は淡々とその心境を明かしている。

 三笘は日本代表の「6月シリーズ」を戦い、鎌田大地、堂安律、板倉滉と並び、「最も序列を上げるポイントを稼いだ」と言える。なかでも「崩し」の武器は出色で、どのディフェンダーにも一度は対応を迫らせた。すなわち、チームにアドバンテージを与えていた。

 チュニジア戦も後半15分に出場すると、左サイドで1対1から切り込み、居合抜きのように相手を置き去りにし、折り返すチャンスを作った。堅い守りに弾き返されたが、その後もふたりがかりで守らせるなど、相手を苦しめている。ボールを持つたび、ゴールの気運が高まった。

 カタールW杯、輝きを放ちつつある三笘の序列は「控え」のままか?

チュニジア戦は後半15分からの出場だった三笘薫チュニジア戦は後半15分からの出場だった三笘薫この記事に関連する写真を見る まず、三笘のポジションである左サイドアタッカーには、南野拓実がレギュラーで起用されている。

 南野自身の力量に疑いの余地はない。チャンピオンズリーグのファイナリストのリバプールに所属し、国内カップ戦二冠の原動力となり、トータルで二桁得点を達成。サイドでパワーを持って守備をし、切り替えで前線にも飛び出せ、ボールキープでタメを作って、ゴール前にも飛び込める。言わば万能タイプのアタッカーだが、その力が最大限に生きるのはゴールに近い場所である。適性ポジションはトップのはずだ。

 サイドでは宝の持ち腐れ。そして仕掛け、崩す点では期待できない。リバプールのように攻め続けるチームのスタートポジションにすぎないなら、ひとつのオプションだろうが......。

 それに対して、サイドの三笘は水を得た魚である。

 たとえばブラジル戦では、レアル・マドリードのエデル・ミリトンに左サイドで得意のドリブルがうまく対応された。実質的にはひとつもうまくいかなかったが、少なくとも先手を取っている。仕掛け続けることで、可能性は広がった。その証拠に、ドリブルを見せながらワンツーで飛び込むと、たまらず相手に潰されているシーンがあった。PKスレスレのプレーだった。

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