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「コロンビア戦は大事件」と驚く杉山氏。
大迫の決勝点には必然性あり (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 一方、コロンビアは大歓声をバックに後半を迎えることになった。スタジアムは逆転ムードに支配されることになった。

 だが実際の流れは、ハーフタイムを挟んだことでリセットされていた。スコアは1対1で、コロンビアは10人。とはいえコロンビアには、こうなったら勝ちたいという欲も生まれている。

 その結果、失うものはなにもないとばかりにイケイケだった前半に比べ、コロンビアは用心深く戦った。日本に攻めさせてカウンターを狙おうとした。残り時間45分、もう1点を奪えば勝利に繋がることが現実になったことで、前半39分に同点ゴールを奪ってからハーフタイムの笛を聞くまでの数分間に比べ、慎重なプレーが目立つようになった。

 コロンビアは引いて構えた。これが日本には幸いした。日本の長所がパス回しにあるとすれば、それが発揮される環境が整ったことを意味した。実際、日本はチャンスを9分、12分、14分とたて続けに作った。しかしチャンスを作っても、日本の攻めは迫力不足だ。決まる可能性が低いことは、日本人であるこちらが一番よく知っている。

 点は入りそうもないが、試合を優勢に進めている日本。相手は10人なので、プレスをかけられる心配もない。11人の日本がパスをつなげば、コロンビアは追いかけざるを得なくなる。1人少ない分、余計に足を使うので疲労は蓄積する。ボールを奪っても、前半のような威力のある攻撃を、連続して仕掛けられない状態になった。

 1-1のまま終わるのか――。スタジアムにはそんなムードが漂い始めていた。コロンビアサポーターの歓声も、時間の経過とともにトーンダウンしていった。その空気がピッチまで伝播したことは言うまでもない。ホームと化したスタンドが静かになるほど嫌なものはない。スタジアムは、川島のミスで同点に追いつかれた直後とは、まったく違うムードになっていた。

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