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【プロ野球】「工藤でも簡単には勝てん」広岡達朗が中日新監督に突きつける厳しい現実 ソフトバンク黄金時代との決定的な違い (3ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Takarin Matsunaga

 工藤氏は現役引退後、筑波大学大学院に進学。ソフトバンクの監督在任中だった2020年には体育学の修士号を取得し、2022年には博士課程へ進んだ。

 長い現役生活で培った経験に満足することなく、運動生理学やスポーツ医学など、科学的な知見を積極的に取り入れてきた。時代の変化に取り残されるどころか、積極的に新しい知識を吸収し、野球への理解を深め続けている。

 広岡氏が常々説いてきた「人生は死ぬまで勉強」という教えを、工藤氏は誰に言われるでもなく実践しているのだ。

【「嫌われてなんぼ」広岡達朗の監督論】

 ただし、どれほどすぐれた野球理論を持っていても、それだけで低迷するチームを再建できるほど、プロ野球の世界は甘くない。広岡氏は、監督として最も重要な資質について、こう語る。

「自分の考え方を組織全体に浸透させることは、本当に難しい。球団は監督を替えるだけで成果が出ると考えてはいけない。監督やコーチには、選手や組織を的確に把握し、コントロールする力が必要なんだ。選手に依存して『頼む』だけの監督は必要ない。選手から単に『いい監督』と言われることも、必ずしもいいことではない。勝つ監督というのは、選手に嫌われてなんぼよ」

 広岡氏らしい、厳格な指導者論である。そして、過去の名将たちの例を挙げながら、工藤氏の前途が決して平坦ではないことを強調した。

「古くは三原脩の近鉄、古葉竹識の大洋、森祇晶の横浜と、前の球団で何度も優勝し、日本一にもなった名将が、次の球団に請われて行っても、思うように勝てずに辞めていくケースがあった。工藤だってソフトバンクで何度も優勝しているけれど、王貞治の後ろ盾があって、潤沢な資金と恵まれた環境が整っていたという部分も考慮しなければならない。中日はソフトバンクほど資金力があるわけじゃないし、長く低迷しているチームだ。そこからどう立て直していくのか、見ものだな。あえて火中の栗を拾いにいく、その男気は大いに称賛するよ」

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