DeNA大田泰示「簡単にわりきれるものではなかった」。日ハムとの別れと新天地での決意を語った
今シーズンから横浜DeNAベイスターズに加入した大田泰示この記事に関連する写真を見る 今シーズンを戦う横浜DeNAベイスターズにあって、三浦大輔監督が非常に頼りにしている選手のひとりが、大田泰示だ。開幕を前に対外試合を戦っているが、大田の溌剌(はつらつ)としたプレーが目立ち、三浦監督も「野球ができる喜び、楽しさ。新しい風を吹かせてくれている」と評価している。
「今年は、大暴れしたいですね」
大田自身も今年にかける気持ちが非常に強い。
背番号0(ゼロ)を背負い、文字どおりゼロからのスタートを切る大田が「勝ちにつなげられる選手」として、ベイスターズで果たすべき役割とは......。
「今の僕があるのは、菅野さんのおかげ」
大田は、巨人で8年間、日本ハムで5年間プレーした経験豊富な選手だが、昨シーズンはファーム暮らしが長く続き、打率.204、本塁打3本、20打点という成績に終わった。そして、11月、日本ハムファイターズからノンテンダーとすることを告げられた。自由契約、いわゆる戦力外通告である。
「びっくりしたのが正直なところでした。プロ野球選手である以上、こういうことはついて回るものだと思うんですけど、前触れもなく、いきなり契約をしませんと言われたのは初めてだったので衝撃を受けましたし、かなり動揺しましたね。チームにはプランがあって、そこにどういう選手を当てはめていくのかを常に考えているのがプロ野球なので、そこから外れてしまうことは仕方ないと言えばそうなんですけど、簡単にわりきれるものではなかったです」
自由契約を告げられた時から新しいチームを探すことを決めた。そして、その日に大田は尊敬する先輩に連絡を入れた。
「まだまだやれるから頑張ってくれ」
先輩の菅野智之(巨人)は、そう言って大田を励ましてくれた。
5年前、巨人から日本ハムに移籍する時もジャイアンツ球場に挨拶に行くと、「また一緒に野球ができるように頑張れよ」と激励の言葉をかけてもらった。
「うれしかったですね。僕は、いつも菅野さんの背中を見てきていますし、その先輩から励ましの声をかけていただいたので、早くチームを決めて、自分のよい姿を見せたいと思いました」
大田にとって菅野は、東海大相模高野球部の1学年上の先輩で、兄貴のような存在だ。高校時代、エースとして活躍した菅野からは多くを学んだ。
「高校時代、菅野さんはケガが多かったんですけど、リハビリを含めて地道な練習を続け、ランニングにしてもキャッチボールにしても一切手を抜かなかったんです。3年になってエースになっても練習への真摯な取り組みは変わらなかったですね。堂々と投げる姿を目の当たりにしてすごいなと単純に思いましたし、野球に対する姿勢や人間性は僕のお手本というか、理想でした」
巨人に入団しても先輩・後輩のよい関係が続いた。菅野の自主トレのキャンプに参加させてもらい、ランニングはしっかりと最後まで走り終えるなど、小さなことにも決して手を抜かない高校時代からの変わらない姿勢に触れて刺激を受けた。
「練習は鬼気迫るものがあって、まだまだうまくなりたいとか、自分のレベルを上げたいとか、自分を追求し、貪欲に練習する姿は、今でも僕の目に焼きついています」
その影響を受けて大田は、全力でフルスイングすること自分に課した。日本ハム時代は、思いきりのいいバッティングが目立つようになり、2019年には123試合、打率.289、20本塁打、77打点とキャリハイの結果を残した。
「今の僕があるのは、菅野さんのおかげです。そのすごい先輩の背中を見て、また野球ができること、今度はセ・リーグなので対戦ができることは、すごくうれしいですね。菅野さんに負けないように結果を出していきたい」
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