夏の全国制覇で高校卒業後の進路を変更 京都国際・西村一毅は公務員志望から野球を続けることを決意した
甲子園初優勝の京都国際Wエースが振り返る激闘の夏〜後編・西村一毅
11月30日、京都国際は年内最後の対外試合を行なった。3対0とリードした7回から2番手としてマウンドに上がった西村一毅は、3回を2安打無失点に抑える好投で試合を締めた。
今夏、チームを初の全国制覇へと導いた伝家の宝刀・チェンジアップのキレ味は相変わらずで、テンポよくカウントを整えていくピッチングに、ネット裏で試合を見に来ていた相手チームを応援するオールドファンからは「あれは打てんなぁ」とため息が漏れた。
京都国際の新エース・西村一毅 photo by Sawai Fumiこの記事に関連する写真を見る「軸が安定して、腕がしなり、しっかり真っすぐを投げられるようになりました。前よりストレートの質はよくなっている感覚はありましたし、指にかかっていたのもよかったです。それでも、まだフォームの完成度は5割くらいです」
言葉を丁寧に選びながら、西村は試合後そう口にした。
【新チームは秋の京都大会4回戦敗退】
9月末に行なわれた秋の京都大会4回戦で、西村は京都外大西から18個の三振を奪うも、延長11回タイブレークの末に2対3で敗れ、来春のセンバツ出場は絶望的となった。
その後、週末の練習試合では何度か登板するも、かねてから課題だったフォーム固めのため、1カ月以上実戦から離れていた。
「甲子園では投げる際、右肩が内に入ってコントロールが荒れてしまったので、フォームを一から見直していました」
1年上の左腕エース・中崎琉生とは今でもともに練習することがあり、その際にアドバイスをもらうことも多いという。
「先日、ピッチングを見てもらった時、中崎さんから『肩が中に入って投げる時は、間合いがない』と言われました。またスライダーを投げる時は、手首の角度を固定して横に弾くようなイメージで投げるといいとも教えてもらいました」
夏の甲子園では中崎とともに京都国際のマウンドを守り、西村は4試合24イニングを投げ、被安打11、奪三振11、失点は1(自責点0)と完璧なピッチングを披露した。
「夏の甲子園は......雰囲気はしっかり覚えていますけれど、あの時の細かい感覚などは、徐々にすごく前のことのように感じています」
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著者プロフィール
沢井 史 (さわい・ふみ)
大阪市出身。関西のアマチュア野球を中心に取材活動を続けるスポーツライター。『ベースボールマガジン』『報知高校野球』などの雑誌や、『スポーツナビ』などのweb媒体にも寄稿。2022年7月には初の単著『絶対王者に挑む大阪の監督たち』(竹書房)を出版。共著としても8冊の書籍に寄稿している。