【ボクシング】山中慎介が注目するボクサーたち 西田凌佑の2階級制覇、18歳の「史上最高の逸材」、井上尚弥vsバムの実現性を語った (3ページ目)
【ボクシング界の超新星】
――若い世代で、山中さんが注目している選手はいますか?
山中 藤木勇我(大橋ジム)ですね。アマチュアであれだけの実績がありますし、無敗というのもなかなかないと思うんですよ。中量級という点でも楽しみなひとりです。
――高校まででアマ9冠、49戦49勝(33RSC)。今年6月のプロデビュー戦も2回TKO勝ちでした。
山中 49戦して無敗というのは、とんでもない戦績です。アマチュアはトーナメントが多いですから、負ければそこで終わり。49戦もして無敗ということは、それだけ大会で勝ち上がり続けてきたわけです。僕は高校からボクシングを始めて、大学までやって47戦ですから、本当にすごい数字ですよね。
――大橋秀行会長は「史上最高の逸材」と評価していて、2年以内をメドに世界挑戦させる方針も明かしています。
山中 まだプロでのキャリアが始まったばかりですから、現時点では様子見というところもあるでしょう。もちろん強いですし、これからが楽しみな選手のひとりなのは間違いないですよね。特に中量級は、日本人が世界で結果を残すのが難しくなってきます。アジアでは無双していた選手でも世界ではことごとく跳ね返されてきました。そういう意味でも、藤木が世界でどこまでいけるのかは楽しみですよね。
【「ロマンがある」。佐々木尽の魅力】
――中量級では、ウェルター級の佐々木尽選手も再び世界を目指しています。9月21日、セムジュ・デビッド選手と日本・OPBF・WBO-APウェルター級王座統一戦に臨み、6回58秒KO勝ちで3冠統一を果たしました。
山中 佐々木はロマンがありますよね。中量級でああいうスタイルの選手って、見ていて面白いじゃないですか。もちろん技術的に見直すところはあると思いますけど、きれいにしすぎないほうがいいとも思うんです。
佐々木のよさって、あの勢いであったり、一発であったり、何か起こしてくれそうな期待感じゃないですか。そこを全部きれいにしてしまったら、佐々木のよさまで消えてしまう可能性もあります。
――今年5月には、アマチュアエリートの田中空選手(判定2-1)を退けました。
山中 技術的には田中のほうが上なんじゃないか、という見方もあったと思うんです。でも、佐々木が競り勝った。技術だけでは測れない魅力が佐々木にはありますね。
――昨年6月、ブライアン・ノーマンJr.を相手に世界初挑戦して敗れましたが、今年9月に地域3冠を統一し、再び世界を目指すことになります。
山中 層が厚いウェルター級ですからね。世界戦にたどり着くまでに戦う相手も当然強い。そこを勝ちながら、もう一度ランキングを上げていかないといけません。簡単ではありませんが、佐々木の場合は、やっぱり見たいと思わせる選手なんですよね。佐々木にはもう一度そこまでたどり着いてほしいですよね。
【プロフィール】
■山中慎介(やまなか・しんすけ)
1982年滋賀県生まれ。元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎氏が巻いていたベルトに憧れ、南京都高校(現・京都廣学館高校)でボクシングを始める。専修大学卒業後、2006年プロデビュー。2010年第65代日本バンタム級、2011年第29代WBC世界バンタム級の王座を獲得。「神の左」と称されるフィニッシュブローの左ストレートを武器に、日本歴代2位の12度の防衛を果たし、2018年に引退。現在、ボクシング解説者、アスリートタレントとして各種メディアで活躍。プロ戦績:31戦27勝(19KO)2敗2分。
著者プロフィール
篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)
フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。
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