井上尚弥vsグッドマン戦を田口良一が予想 井上尚弥と中谷潤人と拳を交えた元世界王者はこの先のビッグマッチも展望 (2ページ目)
元WBA/IBFライトフライ級チャンプは、常に井上の活躍を我がことのように喜ぶ。決して大言壮語はしないが、2013年8月25日に死力を尽くして闘ったあの日を誇りに感じていることが伝わる。田口は、"モンスター"井上尚弥が唯一ダウンを奪えなかった男だ。
「グッドマン戦は、序盤、井上くんが様子を見て、中盤にノックアウトすると予想します。彼はどんなパンチでも、相手を倒せますよね。今回は、顔面へのパンチでフィニッシュするような気がします」
【若き中谷とスパーリングして感じた「巧さ」】
今年5月、東京ドームに4万3000人を集めた井上尚弥だが、ドネア戦以降、強力なライバルが見当たらないまま無双を続けている。その4冠統一スーパーバンタム級王者を猛追するのが、WBCバンタム級チャンピオンの中谷潤人(26歳)だ。
インタビューに答えた田口氏 photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る
2023年1月13日に井上が返上した主要4団体のバンタム級王座は、現在、それぞれ日本人の腰に巻かれている。しかし、中谷の力量はほかの3名とは比較にならない。中谷もまた、これといった対戦相手が見当たらず、ビッグマッチが用意されない悩みを抱えている。そうなると、1階級しか変わらない両者の対戦が現実味を帯びてくるのは自明の理だ。
田口は言う。
「中谷くんともスパーリングをやったことがあります。自分が世界チャンピオンだった頃のはずですが、ほとんど覚えていないんですよ。サウスポーとやったということは、2016年4月のファン・ランダエタ戦の前かな......本当に、ほぼ記憶にないんです。
ただ、巧さが際立っていた憶えはありますね。もし採点されていたら、ポイントを失っていたんじゃないかな。"強い"より"巧い"選手で、『あぁ、この子は世界チャンピオンになるだろう』と感じました。今後、4階級目を狙うんですよね。これほど何階級も制覇するとは想像していなかったです。井上くんと同じで、彼も予想を超えた場所に到達しているなと」
おぼろ気な田口の記憶どおり、2016年に行なわれたスパーリングだとしたら、中谷にとってプロデビューからおよそ1年後のことだ。東日本新人王戦を控えた"4回戦ボーイ"ながら、すでに世界チャンピオンの胸を借りるどころか、存在感を示していたことになる。井上が世界タイトル2階級を制し、WBOスーパーフライ級タイトルの2度目の防衛戦を控えていた頃だ。
28戦全勝 25KOの井上と、29戦全勝 22KOの中谷は5歳違いだが、対峙する運命にあったのかもしれない。
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