「井上尚弥vs.グッドマン」を予想 大番狂わせはあるのか? 在米記者3人に聞いた
クリスマスイブのタイトル戦を戦うグッドマン(左)と井上 photo by Getty Images, 山口フィニート裕朗/アフロこの記事に関連する写真を見る
現代の最強王者・井上尚弥の2024年3度目のリング登場が迫っている。
"モンスター"は12月24日、無敗の指名挑戦者、サム・グッドマンを迎え撃つ。5月にルイス・ネリ、9月にTJ・ドヘニーを撃破した井上は、クリスマスイブに今年3度目のKO勝利をファンにプレゼントしてくれるのか。それとも巧みなアウトボクシングでランキングを駆け上がってきたオーストラリアの刺客が意外な健闘を見せるのか。
軽量級に精通する3人の在米ベテラン記者に3つの質問をぶつけ、楽しみな一戦の見どころを占ってみた。
【タイトルマッチ概要】
WBC、WBAスーパー、IBF、WBO世界スーパーバンタム級統一戦
12月24日@有明アリーナ
◆世界スーパーバンタム級4団体統一王者
井上尚弥【大橋/31歳/28戦全勝(25KO)】
12回戦
◆挑戦者/IBF, WBO同級1位
サム・グッドマン【オーストラリア/26歳/19戦全勝(8KO)】
【パネリスト】
◆ダン・カノービオ(ニューヨーク在住。人気ポッドキャスト「Inside Boxing Live」のホストを務める Twitter : @DanCanobbio)
◆ロン・グッダル(ラスベガス在住。FightHype.comのリード・マネージング・エディター Twitter : @FightHypeRonG)
◆カーラン・バティア(ニュージャージー在住。ESPNなどでインタビュアー、ホスト、実況を務める Twitter : @CurranBhatia)
1. 井上対グッドマンのマッチアップをどう思うか?
カノービオ : 井上が精力的に試合をこなしてくれるのは、うれしい。これだけのボクサーが、2024年の1年間で3回リングに上がるのはすばらしいことだ。井上は支配的なボクサーであり、私は彼こそがパウンド・フォー・パウンドでもNo.1か、オレクサンデル・ウシク(ウクライナ/世界ヘビー級3団体統一王者・12月15日現在)に次ぐNo.2だと思っている。とはいえ、ほかのすべての選手と同じように、井上も年齢を重ねてきているのも事実だ。疲労も溜まっているだろうし、ネリ戦、ドヘニー戦では以前より相手の目の前に立ってパンチを交換するシーンが増えてきていた。
グッドマンは過小評価された無敗選手であり、闘志旺盛だ。ハードパンチャーでこそないが、井上が相手でも手数を出して最善を尽くしてくれるだろう。アメリカの朝に生配信される今回の一戦は、モーニングコーヒーを飲みながら楽しむつもりだ。
グッダル : 井上はスーパーバンタム級での戦いを快適に感じてきていると思うし、この階級でも強さを誇示している。ただ、怪物的な力を持つ彼をもってしても、これまで以上に相手に抵抗され、パンチに耐える場面が増えている印象もある。それでも結局はKOしてしまうのはすごいことだが、やや慎重に戦っているのかもしれない。
グッドマンは耐久力があり、昨年6月のライース・アリーム戦での番狂わせの勝利で力を証明した。オーストラリア人の挑戦者は逃げるのではなく、闘志を持って挑んでくる。効かされる場面があれば、ラフな乱戦に持ち込もうとするのではないか。
バティア : スーパーバンタム級の4冠王者であり、パウンド・フォー・パウンドでも最高級のボクサーのリング登場は、いつでも興味深い。私は昨年、ESPN+で配信された井上対マーロン・タパレス戦の実況を担当する幸運に恵まれた。あれから1年が過ぎ、井上が指名挑戦者との対戦で試されるところが見たいと思う。井上はかつて「調整試合で気持ちを盛り上げていくのが難しい」という主旨の話をしていたのが印象に残っている。その言葉どおりに、ここでまた無敗の優れたチャレンジャーを迎え、どんな戦いを見せてくれるのかを楽しみにしている。
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう