「井上尚弥vs. 悪童・ネリ」の東京ドーム決戦を在米ベテラン記者5人が展望「ファンを喜ばせるいいカードだが...前半で決着がつくだろう」 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

2. 試合予想は?

ビレガス : 7、8、9ラウンドのどれかで井上がKO勝ちを飾ると見る。

エイブラムス : 井上が4、5、6回でKO勝ちを飾る。前半で決着がつくだろう。ネリは2021年のブランドン・フィゲロア(アメリカ)戦ではボディにパンチを浴びて討ち取られた。その時と同様、東京ドームで井上の前に沈むと思う。

ジッテル : 井上がKO勝ちすると思う。井上は素晴らしいパンチャーであり、そのパンチは顔面、ボディの両方に正確だ。ネリにとってのカギはフルラウンドでも戦えるコンディションを整えることだが、フィゲロア戦ではボディでKOされているのは、ご存知のとおり。井上は現役最高級のボディパンチャー。ネリのキャリアで初めて、打ち合いのなかで明白に打ちのめされるだろう。

サンガリア : 井上にとってのカギは、技術の高さに裏打ちされた普段どおりのボクシングをすること。井上は飛び抜けたボディパンチャーであり、ネリはボディ攻めで倒された経験がある。私は井上の5回以内でのKO勝ちを予想する。ネリが勝つとすれば、別の対戦相手を選んだ時だ。

オハラ : 井上の8回TKO勝ち。

3. ネリ戦も勝ち抜くと仮定し、
今後、井上を苦戦させるとすればどんな選手なのか?

ビレガス : 井上を苦しめるのはフェザー級、スーパーフェザー級のボクサーではないか。サイズで上回り、その強打を浴びても致命的なダメージを受けない選手だ。井上はもちろんさまざまな面で優れたオールラウンダーだが、やはりそのパワーが決め手になっているように思えるだけに、パワー以外の面で勝負する必要が出た時に付け入る隙が出てくる。だからサイズ面で限界を迎えるか、あるいは年齢的に衰えが出始めた頃に落とし穴が見えてくる。クレイジーと思えるかもしれないが、個人的には一部で話題になった3階級制覇王者、元WBA世界ライト級王者ジャーボンテ・"タンク"・デービス(アメリカ)との対戦がやはり見てみたい。130パウンドのキャッチウェイトでそのマッチアップが実現すれば、私は井上を熱狂的にサポートすることだろう。

エイブラムス : スーパーバンタム級に井上を苦しめる選手がいるとは思わない。苦戦するとすれば、今後、階級を上げ続け、体重の壁にぶつかった時。その時の相手が誰になるかはわからない。フェザー級に昇級したとして、そこに階級の壁が存在するのかどうかが近未来の最大の注目ポイントとなるのだろう。

ジッテル : 同じサイズで彼に勝てる相手がいるとは思わない。また、フィゲロアのように大きくても、被弾傾向にある選手では勝てないだろう。危険になるのは、下の階級から上がってきた選手ではなく、スーパーバンタム、フェザー級からキャリアを開始した上でその階級で戦っている選手たちだ。たとえばWBA世界フェザー級王者レイモンド・フォード(アメリカ)。フォード対井上戦は面白かったはずだが、フォードはフェザー級で長くは戦わないのが残念ではある。個人的には好戦的で身体能力に恵まれたブルース・"シュシュ"・ケアリントン(アメリカ/フェザー級で戦う27歳。現在11戦全勝・7KO)の成長を楽しみにしており、18〜24カ月後くらいにアメリカにおける井上の好敵手になるポテンシャルは秘めていると思う。下の階級から上げてきた選手で、井上との激突が興味深そうな例外を挙げるなら、極めて長身の現WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)くらいか。

サンガリア : 井上を苦しめるとしたら、大きく、若い選手だ。それは"モンスター"が階級を上げすぎた時に起こる。現在戦っている階級では今現在、苦戦しそうな相手は見当たらない

オハラ : 井上をトラブルに陥らせるのは3階級制覇王者エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ/現WBO世界スーパーフェザー級王者)のようなタイプだと思う。ナバレッテは長身でリーチが長く、しかも変則的だ。ナバレッテが階級を上げてしまった今では現実的ではないが、まだ体重を落とせるなら、対戦を見てみたい。

プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る