【恩田社長の600日】チームの強さと観客動員数が比例しない難しさ

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi  photo by AFLO

FC岐阜・恩田社長の600日 ~Jリーグ地域クラブへの伝言~
 第4回 チームが強ければお客様は集まるのか? 私の答えはノー!

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2014年度開幕戦、スタジアムには1万人以上が詰めかけた2014年度開幕戦、スタジアムには1万人以上が詰めかけた

  基本的にどうしようもないことにもかかわらず、プロスポーツクラブ経営に於いて、経営上の大きなファクターとなるものが、試合の勝ち負けです。もちろん、勝つためにできる限りの編成をして、最大限の準備をしますが、「最後は神のみぞ知る」です。

 メーカーであれば、しかるべき資金を投下し設備投資を行なえば、生産力向上というリターンを得ることができます。しかし、クラブの最大の資産である選手は、金額に見合うパフォーマンスをするとは限らないのです。もちろんケガもあります。監督を含めた現場スタッフとの相性もあります。非常に難易度の高い投資です。私は元々サッカーの門外漢ですので、私のやったことは、編成の予算を決めることのみです。素人が編成や起用法に口出しをはじめたら、その組織は崩壊すると思います。

 現場はいくらでも予算を欲しがり、経営陣は健全経営を念頭において予算を組みます。そこには常に利益相反が発生します。その間に立ち、調整する役割を担うのが、チーム統括部長です。2015年シーズンにチーム統括部長に就任した高本詞史(のりふみ)氏は、私が直接口説いてFC岐阜に来てもらいました。彼については、改めて別の回で書きますが、2015年シーズンの夏の補強において、黒字確保と降格回避という2つの至上命題がある中、見事な手腕を発揮してくれました。

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