【プロ野球】阪神・藤川球児は岡田彰布の野球をどう進化させたのか? 江本孟紀が解き明かす球団史上初のリーグ連覇の舞台裏 (3ページ目)
── ドリス投手は2017年に37セーブでセーブ王を獲得。今季、阪神に復帰し、53試合に登板して2勝4敗19セーブ、19ホールド、防御率2.20です。
江本 ドリスがいたことも大きかったですが、石井の穴を埋めるように台頭したのが、ストレートが武器の工藤泰成と木下里都ですよ。こういう素材をドラフトで獲得し、戦力にしたということです。
【岡田野球の継承と藤川流の確立】
── 阪神は8月29日に優勝マジック「23」を点灯させましたが、9月には7連敗を喫するなど、苦しい時期もありました。
江本 巨人も粘りましたね。ただ、直接対決で阪神が大きく勝ち越していたことが最後まで効いた。10月1日の巨人との今季最後の直接対決でも、9回二死から大山が同点タイムリーを打って引き分けに持ち込んだ。ああいう試合を落とさないところが、優勝するチームの強さですよ。
── 阪神の連覇は、2リーグ制になってから初です。藤川監督は、ベンチでは泰然自若としているように見えます。
江本 藤川監督がいいのは、本人なりに野球を勉強してきたことと、自信を持っているということ。それから、岡田監督の野球をよく見ていたことです。自分流に変えたいところはあるでしょうけど、「ここは変えたらダメだ」という部分も分かっている。監督になると、自分の色を出そうとして、これまでとは180度違う野球をする人が多いですから。
── 藤川監督はコーチ経験なしで監督に就任しました。
江本 ただ、現役引退後は2021年から阪神のスペシャルアシスタントを務め、23年からは球団本部付のスペシャルアシスタントとしてチームを見てきた。その時間がよかったんじゃないですか。外から野球を見て、球団運営にも関わりながら勉強することができた。岡田監督のいいところを踏襲しながら、本塁打が出てもベンチで一喜一憂しないなど、自分のスタイルを貫いている。そこはいいと思います。
── クライマックスシリーズを勝ち抜けば、日本一への期待も高まります。
江本 昨年の日本シリーズはソフトバンクに1勝4敗でした。巨人は日本一22度。阪神はまだ2度です。リーグ優勝だけじゃなく、日本一を積み重ねていくことが大事ですよ。2リーグ制以降、球団史上初のリーグ連覇を果たしたわけですから、次は日本一。ここから本当の阪神黄金時代をつくってほしいですね。
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年7月22日、高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、社会人野球の熊谷組を経て、71年にドラフト外で東映フライヤーズに入団。同年オフに南海ホークスへ移籍し、翌72年には16勝をマーク。76年に江夏豊とのトレードで阪神に移籍し、主力投手として活躍した。81年に現役を引退。プロ通算113勝126敗19セーブ、防御率3.52。引退後は野球評論家として活動する一方、92年に参議院議員に初当選し、2期12年務めた。著書『プロ野球を10倍楽しく見る方法』はベストセラーに。現在はテレビ、ラジオ、新聞などで野球解説者として活躍中
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