戦力外にも逸材がゴロゴロ。
ソフトバンク出身は活躍する、は本当か

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 日本シリーズで広島を下し、2年連続日本一を成し遂げたソフトバンクだが、チームに激震が走ったのは、歓喜の翌日、11月4日のことだった。

 広島での祝勝会は深夜にまで及んだが、球団のフロント幹部は翌朝、慌ただしく福岡へ戻っていった。午後、お祝いムード一色のはずのヤフオクドームは重苦しい雰囲気に包まれていた。

 スーツ姿の選手たちが次々とやって来ては球団事務所に入っていく。その場で「来季の契約は結ばない」といった旨を告げられた。いわゆる戦力外通告だ。

 そのなかにはチームの功労者であるベテラン選手も数多くいた。

トライアウトで147キロをマークした山下亜文トライアウトで147キロをマークした山下亜文 沢村賞や5年連続2ケタ勝利など輝かしい実績を持つ攝津正、メジャーでもプレーした中継ぎのスペシャリスト・五十嵐亮太、高校時代は甲子園を沸かせて現在でも150キロ近い速球を投げ込む寺原隼人、守備・代走職人で2年前の交流戦でMVPにも輝いた城所龍磨の名前があった。

 育成選手らの一次通告を含めると、今オフの戦力外は計19名にも及んだ。高校通算97本塁打の黒瀬健太や、ファームで最多勝の経験もある笠原大芽らは育成選手として再契約を結ぶとはいえ、これはもう大粛清である。

 ベテラン投手陣については、たしかに選手としてのピークを過ぎてしまっている感は否めない。だが、攝津のームメイク力はまだまだ一級品だし、五十嵐の探究心深さは常に感心させられるばかりだ。寺原にいたっては今シーズンも21試合に登板して防御率2.39の成績を残しており、ヤクルトが興味を示していると報道されている。

 また、城所は1113日に行なわれた12球団合同トライアウトに参加し、2安打1盗塁をマークするなど、まだまだ十分やれるところをアピールした。

 ソフトバンクはここ5年で4度も日本一に輝いている常勝球団だ。選手個々のレベルが高いのは言わずもがなだが、加えて12球団一充実したファーム施設と、三軍制度も生かしながら若手も着実に力をつけている。今年の日本一は、若手の台頭なしには成し得なかった。

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