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【MLB】高い三振率に低いコンタクト率 それでも村上宗隆が35本塁打を放ち、ホワイトソックスの躍進に貢献した理由 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【初のポストシーズンも自然体で】

 バットに当たれば、試合を変えられる。その打撃が、シーズン最後の11日間に再び威力を発揮した。9月17日、前日の試合でスタメンを外れていた村上は、デトロイト・タイガース戦の第1打席で初球のシンカーを捉えた。打球は中堅へ423フィート(約129メートル)。32号3ランとなった。ホワイトソックスは、その3点だけで3―1と勝った。ゲッツGMの「必要なのはたったひと振り」を、そのまま形にしたような本塁打だった。

 25日には、コロラド・ロッキーズの菅野智之から2本塁打を放ち、34、35号とした。長い不振のなかで、村上は自分の身体を見直していたという。

「ちょっと上半身ばかりに意識がいっていたなと。それはなんでかなみたいなところから、下半身をもう1回鍛え直さなきゃ、みたいな感じですかね」

 下半身やインナーマッスルをあらためて意識することで、打席で考えることも少なくなった。

「土台がしっかりすることで、その打席のなかで、シンプルな考え方で打席に立てるっていうのが、すごくいいところかなと思います」

 自分の強みは何かと聞かれると、「できると信じるというか、何事も経験だというふうに思っていますし。今回、長く打てない期間からこうやって打てたことも経験です」と答えた。

 ゲッツGMも、村上が不振から抜け出すことを信じていた。

「ムネは一生懸命取り組む選手だし、すごく頭もいい。そして何よりも強い意志を持っている。だから、いずれどこかで不調から抜け出すだろうとは思っていた」

 そしてワイルドカードシリーズ前日の会見では、こう言いきった。

「彼が、我々がここまで来られた理由のひとつであることは間違いない」
 
 ホワイトソックスは2024年に41勝121敗、2025年も60勝102敗だった。筆者が今季4月、5月にシカゴでチームを取材した時点でも、すでに長く低迷してきたチームが変わり始めていることを感じた。その中心にいたのが、新加入の村上だった。ゲッツGMも、村上の加入が「チームに勢いを与えてくれた」と振り返る。

 村上自身は、過去を振り返ろうとはしない。

「前年までのことは知らないし、ここからが始まりだと思う」。初めて迎えるメジャーのポストシーズンについても、「いろいろな経験をしてきた。それは生きると思う。取り組んできたことをやるだけ」と話した。

 ヤクルト時代のポストシーズン、そしてWBC。大舞台を経験してきた村上に、ウィル・ベナブル監督も「いつもどおりのムネでいてほしい」と期待する。

 ワイルドカードシリーズの相手はヒューストン・アストロズだ。右腕中心の先発陣を攻略するためにも、ホワイトソックスには村上の長打が必要になる。スカウトが懸念した「スイングの穴」は、実際に存在した。それでも35本塁打を放ち、チームが10月へ進む大きな力になった。その極端な打撃は、短期決戦でも成立するのか。「ここからが始まり」という村上自身の言葉どおり、その答えを出す戦いがヒューストンで始まる。

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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