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【MLB】高い三振率に低いコンタクト率 それでも村上宗隆が35本塁打を放ち、ホワイトソックスの躍進に貢献した理由 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【ホワイトソックスGMが村上に求めたもの】

『ベースボール・サバント』によれば、村上は平均打球速度、ハードヒット率、バレル率でいずれもメジャー最高水準に入った。ほかの打者より多くボールを前に飛ばしたのではない。少ないコンタクトを、長打につながる打球へ変えたのである。さらに四球率は16.6%(メジャー平均は8.4%)。投手がストライクゾーンを外せば、それを見極めて一塁へ行った。村上はコンタクトの「量」ではなく、一度のコンタクトと一度の出塁が生み出す「価値」を極端に高めることで、弱点を抱えたまま打者として成立したのである。

 ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMが、村上が長い不振に陥っても上位打線で起用し続けた理由をこう説明している。

「彼は本当に試合を変えることができる。必要なのはたったひと振りだ」。さらに、「彼が安定してやっていることのひとつは出塁すること。四球も選ぶし、打席では常に脅威になっている」と続けた。

 興味深いのは、今季のホワイトソックスにはもうひとり、大量の三振と長打を共存させた打者がいたことだ。24歳のコルソン・モンゴメリー遊撃手である。今季はメジャー新記録となる227三振。打率は.197だった(村上は.207)。それでも31本塁打を放った。三振率は35.6%で、村上とほぼ同じだった。35%台の三振率を記録したふたりが、ともに30本塁打を超えた。

 三振を恐れるより、その代償として何を生み出すか。今季のホワイトソックスは、そんな現代野球の考え方を象徴するような打線で10月までたどり着いた。

 三振の意味そのものが、この30年で大きく変わった。筆者がメジャー取材を始めた1997年当時、三振の多さは打者にとって恥ずべきものという空気がまだ色濃く残っていた。バットに当てれば守備のミスが起こるかもしれない。走者を進めることもできる。それなのに何も起こさずベンチへ戻る三振は、打者の技術不足を示すものと考えられていた。

 しかし、その価値観は変わった。データ分析が進むにつれ、三振だけを特別に重い失敗とみなす考え方は薄れていった。難しい球まで当てにいくことより、ボール球を見極め、打つべき球には強いスイングをする。その結果として三振が増えても、それを上回る長打と出塁を生み出せるなら、打者として十分な価値がある。三振は単純に排除すべき失敗ではなく、長打力や選球眼を最大限に生かす打撃のなかで、ある程度は受け入れられる代償になったのである。

 もちろん、村上のやり方が常にうまくいったわけではない。むしろシーズン終盤には、この打撃スタイルが抱える危うさもはっきりと表れた。

 7月終了時点ではOPS.935、24本塁打。しかし、8月1日から9月16日までの不振によって、打率はそこから42ポイント、出塁率も38ポイント低下し、OPSは.804まで落ちた。この期間だけで77三振を喫した。米メディアからも、昨オフに多くの球団が獲得に慎重になった一因である「スイングの穴」が、次第に表面化してきたと指摘された。それでも、この期間に7本塁打を放った。

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