検索

【ドラフト2026】選抜準優勝左腕に何が? 智辯学園・杉本真滉が明かした最後の夏の異変と運命の日への胸中 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

「もう大丈夫です」

 あれほど苦しんだフォームを、どうやって修正したのか。

「とくにこれをやって一気によくなったというのではなくて、夏が終わってから徐々に意識しながら、いろいろやっていったら、いい感じで投げられるようになりました」

 春から夏にかけて、あれだけ悩み、試行錯誤を重ねても思うようにいかなかったものが、そんなに簡単に戻るのだろうか。杉本の言葉だけでは、にわかに納得できない部分もあった。

【日本代表で問われる真価】

 だが、小坂監督も本人の言葉を裏づけるように、こう話した。

「この間、バッピー(打撃投手)で投げたんです。傾斜のないところではあったんですけど、腕も上から振れて、いい感じで投げていました」

 あとは実際の投球を見て確認するしかない。実は取材に訪れる3日前の8月22日、U−18日本代表のメンバーが発表され、杉本も名を連ねていた。その知らせを聞いたとき、正直、不安もよぎった。

 もし夏の状態から抜け出せていなければ、注目を集める国際舞台で、かえって評価を下げてしまう可能性もある。ならば、時間をかけてじっくり立て直したほうがいいのではないか。そんな思いもあった。

 しかし、日本代表のスタッフは、選抜で見せた杉本の実力を高く評価し、復調への期待も込めて招集を決めたのかもしれない。小坂監督も、杉本の代表入りを見据えて準備を進めていた。

「夏が終わってからは、選ばれる可能性がゼロじゃないから、しっかり準備しておけと本人には言っていました。1週間完全に休ませてからは、しっかり練習をしていました」

 指揮官の期待に応えるように、杉本も力強く意気込みを語った。

「夏がダメだったぶん、ジャパンでどれだけアピールできるか。夏のぶんもしっかり投げたいです」

 選抜準優勝の栄光から、思い描いた投球ができなかった最後の夏へ。そして、再び巡ってきた大舞台。春に見せたあの力強いストレートは戻っているのか。自信を持って腕を振れるようになっているのか。その答えを示すべく、杉本は初めての国際舞台へと向かっていった。

著者プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

フォトギャラリーを見る

4 / 4

登録は簡単! チェックを入れてボタンを押すだけ 詳しくはこちら

キーワード

このページのトップに戻る